TOQビジョン

TOQビジョンとは

TOQビジョンは、東急電鉄の車両に搭載されているデジタルサイネージシステムです。主に東急グループの広告代理店である東急エージェンシーが、媒体運営者としてサービスを展開しています。このシステムは、乗降用ドアの室内側上部に設置された2つの液晶画面を利用して、様々な動画コンテンツを放映しています。

サービス自体は2002年12月8日に始まりましたが、「TOQビジョン」という名称が公式に使用され、画面周りにロゴステッカーが貼付されるようになったのは、2004年9月からです。なお、池上線や東急多摩川線で使用されている7000系車両にもドア上部に液晶ディスプレイが設置されていますが、これらはTOQビジョンとは区別されています。

導入当初、田園都市線に投入された5000系車両の初期編成（第1編成）は1画面構成でこのサービスに対応していませんでした。しかし、第2編成以降はJR東日本のE231系500番台（山手線仕様）に倣った2画面レイアウトでサービスが開始され、後に第1編成も2画面化されてTOQビジョンに対応しました。サービス開始初期の第1編成では、駅接近時や停車中、発車直後には旅客案内が表示され、駅間走行中は動物や魚などの環境映像が流れていましたが、現在の主なコンテンツは広告動画となっています。

放映内容

TOQビジョンの画面では、主に企業や団体によるコマーシャル動画が繰り返し放映されます。これは、JR東日本の「トレインチャンネル」のように独自制作の番組（例：TRAIN TV）を流す形式とは異なり、より広告媒体としての性格が強いと言えます。長らく広告が中心でしたが、2018年からはコンテンツが拡充されました。具体的には、「TOQビジョンニュース」としてNHK Pickup NEWSや共同通信のニュース、さらにはウェザーニューズ提供の天気予報（「のるるん天気予報」の愛称）が導入されています。のるるん天気予報は、東京都区部や神奈川県東部といった東急沿線地域に特化した予報を提供しています。音声はトレインチャンネルと同様に流れません。また、東急線内の運行情報は、別の旅客案内用モニターに表示されます。

広告内容は多岐にわたり、劇団四季やパナソニックなどの一般企業や団体のCMに加え、東急グループ各社（東急自身、南町田グランベリーパーク、イッツコム、東急でんき&ガスなど）の商品やサービスの告知、イベント情報、さらには伊豆急行沿線のようなグループ関連地域の観光案内なども多く見られます。特定の車両編成によっては、特別なコンテンツが放映されることもあります。例えば、5050系4000番台「Shibuya Hikarie号」では渋谷ヒカリエの案内動画が、SDGsトレインでは東急グループや協働する阪急阪神ホールディングスのSDGsへの取り組みに関する動画が流れています。

サービス提供範囲

TOQビジョンは東急電鉄の車両に搭載されていますが、これらの車両が東急線以外の様々な路線へ乗り入れているため、東急線だけでなく、以下のような多数の直通先路線でもTOQビジョンを目にすることができます。

横浜高速鉄道
みなとみらい線
東京地下鉄（東京メトロ）
有楽町線（定期運用区間は小竹向原～新木場）
半蔵門線
南北線
副都心線
東京都交通局（都営地下鉄）
三田線
東武鉄道
東武スカイツリーライン（曳舟～東武動物公園）
伊勢崎線（久喜まで）
日光線（南栗田まで）
東上線（和光市～小川町）
西武鉄道
池袋線（練馬～飯能）
西武有楽町線
狭山線（西武ドームでイベント開催時など）
埼玉高速鉄道
埼玉高速鉄道線
相模鉄道
相鉄本線
相鉄いずみ野線
相鉄新横浜線

これらの乗り入れ先でも、東急沿線地域の天気予報である「のるるん天気予報」がそのまま流れるため、例えば埼玉県内を走行中に、東急沿線の天気予報が表示されるといった現象が見られます。

TOQビジョン搭載車両

TOQビジョンが設置されている主な車両形式は以下の通りです。

5000系列（5000系、5050系、5080系）
6000系
2020系列（2020系、6020系、3020系）
3000系
* 横浜高速鉄道Y500系

これらの車両を利用する際には、乗降用ドアの上部に設置されたTOQビジョンの画面に注目してみると、多様なコンテンツが放映されているのが確認できるでしょう。

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