西武有楽町線

西武有楽町線

西武有楽町線は、練馬駅と小竹向原駅を結ぶ、西武鉄道の鉄道路線です。路線名に「西武」を冠するのが特徴で、駅ナンバリングでは「SI」の路線記号が用いられています。この路線は全区間が東京都練馬区内に位置し、主に東京メトロ有楽町線・副都心線への直通列車が運行されています。

概要

西武有楽町線は、旧都市交通審議会の答申第10号における8号線の一部として計画され、西武池袋線と東京メトロ有楽町線・副都心線を結ぶ役割を担っています。路線名に「有楽町」とありますが、これは直通運転を行う東京メトロ有楽町線に由来するもので、西武有楽町線自体は有楽町を経由しません。このため、区別するために「西武」を冠しています。

この路線は、練馬駅構内を除き全区間が地下にあり、踏切は存在しません。また、西武鉄道で唯一、車内信号閉塞式（ATC）を採用している路線であり、全線が複線という特徴も持っています。路線の起点は練馬駅ですが、列車運行上は小竹向原駅から練馬駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなります。

路線データ

路線距離（営業キロ）：2.6 km
軌間：1067 mm
駅数：3駅（起終点駅含む）
複線区間：全線
電化区間：全線（直流1500 V 架空電車線方式）
閉塞方式：車内信号閉塞式
最高速度：90 km/h
建設主体：日本鉄道建設公団（現 独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構）
2020年度の混雑率：76%（新桜台駅→小竹向原駅 7:32-8:32）

歴史

西武有楽町線の歴史は、1970年5月に運輸審議会での承認と地方鉄道事業免許の取得から始まります。建設工事は1980年3月に開始されました。当初は西武有楽町線と営団地下鉄（現・東京メトロ）有楽町線の同時開業、西武池袋線との相互直通運転が計画されていましたが、練馬付近の工事の遅れから、小竹向原から新桜台までの区間が先行開業しました。

1983年10月1日の開業当初は、西武鉄道の他路線と接続していなかったため、帝都高速度交通営団（現・東京メトロ）有楽町線の延伸区間のように扱われ、新桜台駅のデザインや案内サインは営団仕様で統一されました。さらに、車両も営団7000系電車を借り受け、運行も営団の保安装置を使用していました。乗務員は西武鉄道の職員が担当し、小竹向原駅で交代していました。

1998年に練馬駅の高架化工事が完了し、全線複線化されるとともに、西武池袋線との直通運転が開始されました。これにより、西武有楽町線は池袋線と東京メトロ線を結ぶ重要な路線となりました。

年表

1968年（昭和43年）9月5日：営団地下鉄と西武鉄道の間で相互直通運転に関する覚書が交わされる。
1970年（昭和45年）5月25日：練馬 - 向原（仮称）間の地方鉄道敷設免許取得。
1980年（昭和55年）3月：建設工事に着手。
1983年（昭和58年）10月1日：新桜台 - 小竹向原間(1.2km)開業。営団地下鉄有楽町線との直通運転開始。
1994年（平成6年）12月7日：練馬 - 新桜台間(1.4km)が暫定的に下り線のみの単線で開業。営団有楽町線新線との直通運転を開始し、自社車両（6000系）の使用を開始。
1998年（平成10年）3月26日：練馬駅高架化工事の完成により、練馬 - 新桜台間を複線化、池袋線との直通運転を開始。
2004年（平成16年）4月1日：営団改組により、直通運転先が東京メトロとなる。
2005年（平成17年）10月31日：平日朝ラッシュ時に女性専用車を導入。
2008年（平成20年）6月14日：東京メトロ副都心線との相互直通運転を開始。
2011年（平成23年）10月4日：小竹向原駅でコンクリート落下による信号ケーブル切断が発生し、運休。
2013年（平成25年）3月16日：東京メトロ副都心線経由で東急東横線・みなとみらい線との相互直通運転開始。ラインカラーを紫色から柿色に変更。快速急行を新設。
2013年（平成25年）3月18日：平日における女性専用車の実施時間帯を拡大。
2020年（令和2年）3月14日：快速急行停車駅から新桜台駅が除外される。

運行形態

西武有楽町線は、主に飯能駅 - 新木場駅間（東京メトロ有楽町線）と飯能駅 - 元町・中華街駅間（副都心線・東急東横線・みなとみらい線）を結ぶ相互直通運転を行っています。線内のみを運転する列車は設定されておらず、全列車が池袋線石神井公園以西を始発・終着駅としています。小竹向原駅が起終点となる列車は、初電・終電の各1往復と平日朝の下り1本のみです。その他の列車は東京メトロ線と直通運転を行っています。

列車種別は、S-TRAIN、快速急行、快速、準急、各駅停車があり、S-TRAINと快速急行を除く全列車が西武有楽町線内は各駅に停車します。S-TRAINは平日下りの練馬駅停車を除き、運転停車のみで乗降はできません。

朝の最小運転間隔は2分、日中は1時間あたり8本程度が運行されています。

西武ドームへの観客輸送

西武ドームで野球開催時には、新木場・渋谷方面からの西武球場前行きの臨時列車が運行されます。2013年3月16日からは、元町・中華街発の西武球場前行きも設定され、横浜方面からのアクセスが改善しました。

これらの臨時列車には、西武鉄道の車両だけでなく、東京メトロや東急電鉄の車両も使用されます。また、試合開催日には、埼玉西武ライオンズの球団ロゴマークや選手応援企画の特製ヘッドマークが装着されることもあります。

輸送障害時の全線運休措置

西武有楽町線は、線内に折り返し設備がないため、池袋線や東京メトロ線などでダイヤの乱れが発生した場合、全線運休となります。これは、この路線が連絡線的な役割を担っているためで、他の路線に影響が出た場合、その影響が直接的に及ぶことになります。この場合、新桜台駅の利用者は他の駅を利用する必要があります。

使用車両

西武有楽町線では、保安装置の関係上、地下鉄乗り入れ対応車のみが使用されます。また、有楽町線直通列車は10両編成のみが使用されます。

自社車両

40000系：10両編成、東京メトロ有楽町線・副都心線直通列車に使用。
6000系：10両編成、東京メトロ有楽町線・副都心線直通列車に使用。地下鉄対応編成のみ。

乗り入れ車両

東京メトロ：17000系（10両・8両編成）、10000系（10両編成）。
東急電鉄・横浜高速鉄道：5000系、5050系、Y500系（8両編成）、5050系4000番台（10両編成）。

過去の乗り入れ車両

東京メトロ：07系、7000系。

女性専用車

平日ダイヤの始発から9時30分まで、小竹向原駅に到着する上り列車の最後部車両が女性専用車となります。下り列車や土休日ダイヤでは実施されません。女性専用車は、女性客のほか、小学生以下の子ども、障害者とその介助者が利用できます。実施区間は以下の通りです。

有楽町線直通列車：池袋線飯能駅から新木場駅まで
副都心線直通列車：池袋線飯能駅から東急東横線・みなとみらい線元町・中華街駅まで

駅一覧

西武有楽町線の駅は以下の通りです。全駅が東京都練馬区に位置しています。小竹向原駅は、西武鉄道で唯一の他社管理委託駅であり、東京メトロが管理しています。

小竹向原駅 (SI06)
新桜台駅 (SI38)
練馬駅 (SI07)

S-TRAINを除く全ての列車が各駅に停車します。

脚注

この文章は、西武有楽町線の概要、歴史、運行形態、使用車両、駅情報などについてまとめたものです。より詳細な情報や最新の情報については、関連資料をご確認ください。

関連項目

日本の[[鉄道路線一覧]]

参考文献

日本鉄道運転協会『運転協会誌』1983年12月号「西武有楽町線新桜台 - 小竹向原間開業」
* 『東京地下鉄道有楽町線建設史』帝都高速度交通営団、1996年7月31日。

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