TOS-1

TOS-1「ブラチーノ」の詳細

TOS-1「ブラチーノ」は、ロシアの重火力投射システムである。正確には、サーモバリック爆薬弾頭を搭載したロケット弾を発射するために、T-72戦車の車体に220mmのロケット発射器を組み込んだ多連装ロケットランチャーだ。この兵器は、その特異な運用と功績から、特に激しい都市戦における威力を発揮している。

概要

オリジナルのTOS-1は、30発の220mmサーモバリック弾を持ち、わずか15秒で連射が可能である。この射程は500メートルから最大で3,500メートルと比較的近い範囲であり、主に軽装甲の防御隊形やオープンエリアの兵員を対象に設計されている。冷戦時代に始まった開発は、1988年から1989年にかけてアフガニスタンでの実戦テストを経て、1999年に一般公開された。これにより、TOS-1は現在、火炎放射戦車として唯一扱われることもある。

開発の背景

1979年に始まったソ連のアフガニスタン侵攻では、ソ連軍は自衛戦術としてサーモバリック弾を使用する多連装ロケットシステムの導入を急務としていた。この必要に応じて、T-72戦車を基にした重量級のロケット発射システムが開発され、TOS-1と命名された。この戦闘車両は非誘導のサーモバリックロケットを装備し、小型の補給車両であるTZMによってサポートされる。

設計の特徴

TOS-1A（Solntsepyok）は、T-72A車体を利用しており、24発の非誘導サーモバリックロケットを装備できる。射撃システムには、弾道計算機、照準器、レーザー測距儀などの火器管制装置が搭載されている。また、乗員は3名で、AKS-74や軽機関銃、手榴弾などの武器が装備されている。これにより、敵対的な兵員や装備に対する高レベルの防御能力と攻撃力を両立させている。

実戦での使用

TOS-1はアフガニスタンでの実戦で最初に使用された後、1999年にはグロズヌイの戦闘に投入された。チェチェン紛争の際にも、ロシア・チェチェン共和国の都市部においてその威力を発揮した。さらにイラクでは、ISILに対抗するために2014年から使用され、特に都市での戦闘で有効であったと言われている。アゼルバイジャンは2016年には同兵器で攻撃を行ったが、ロシア・ウクライナ紛争においても2022年にウクライナ東部での運用が報告されている。

使用国および配備状況

現在、ロシアをはじめ、カザフスタン、イラク、アゼルバイジャン、ウクライナ、シリアにおいても運用されている。ロシアだけでも約15輌のTOS-1が確認されており、イラクやアゼルバイジャンではそれぞれ4輌や18輌が導入されている。

まとめ

TOS-1「ブラチーノ」は、その高い連射能力とサーモバリック弾の特性によって、現代の戦場において非常に効果的な兵器となっている。都市戦や低強度戦争において、敵の兵員や防御を無力化するための重要な役割を果たすことが期待されている。

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