TOSBAC

TOSBAC (トスバック) の歴史

TOSBACは、東芝が自社で製造したコンピュータの商標であり、社名の頭文字を取った「TOshiba Scientific and Business Automatic Computer」という意味が込められています。本記事では、TOSBACがどのように誕生し、発展していったのかを詳細に解説します。

初期の試み

1948年に東芝はコンピュータ研究を開始し、東京大学との共同でTACの開発計画が進められましたが、最初に納入したTACは動作が不安定であり、1956年には開発から撤退しました。その後、社内開発により真空管を使用した試作機TOSBAC-Dが誕生し、周辺機器の接続を通じた実用性が評価されました。1958年には、独自回路方式を用いてトランジスタ化されたTOSBAC-STRが登場し、東芝は真空管を排除した半導体ベースのシステムを商業化しました。また、1962年にはマイクロプログラム方式が重要であると認識し、京都大学との協力でKT-パイロットを開発しました。

メインフレームとビジネス用途

TOSBACはメインフレーム級システムとしてビジネス用途と科学技術計算に特化してマーケティングが行われました。1964年にはゼネラル・エレクトリック社と技術提携を結び、TOSBAC-5600の開発に繋がります。1959年に発表されたTOSBAC-2100シリーズは、最初のビジネス用途のコンピュータであり、紙テープやパンチカードを用いるプログラム方式で動作しました。続く1962年のTOSBAC-4200は、カナ文字を扱えるアーキテクチャが採用され、地方自治体でも導入されました。さらに、1964年にはTOSBAC-5400が、世界気象観測網に貢献するために導入されました。

科学技術計算の進化

1961年に登場したTOSBAC-3100は、視聴率計算に使用され、1964年にはマイクロプログラム方式を採用したTOSBAC-3400シリーズがリリースされ、多様なアドレッシングモードが強化されました。これにより、東京ガスなどがリアルタイム監視や技術計算に利用しました。

オフィスコンピュータの進出

TOSBACの技術はオフィスコンピュータにまで広がり、1963年にはTOSBAC-1100が登場し、入力記録端末としての役割を果たしました。1972年に発表されたTOSBACシステムは漢字処理の利便性を高めた一体型コンピュータとして、多くのユーザーに支持されました。

ミニコンピュータの誕生

1960年代には、TOSBAC-2100の設計を活用したTOSBAC-8000などが登場し、産業制御専用のコンピュータが開発されました。1970年には16ビットシステムであるTOSBAC-40がリリースされ、これがミニコンピュータとしての基礎を築いていきます。1978年にはさらなる進化を遂げ、32ビットへの拡張前のTOSBACシリーズとして進化しました。

事業の転換と日電東芝情報システム設立

1970年代後半、TOSBAC-5600のシリーズは市場での評価をあまり受けられず、東芝は赤字が増大しました。これにより、NECと共にACOSの開発に移行し、最終的にはメインフレーム事業を日電東芝情報システムに移管する結果となりました。

結論

TOSBACは、東芝のコンピュータ技術の歴史を象徴する存在であり、ビジネスや科学の現場で重要な役割を果たしました。その製品群は多くの分野で使用され続け、その影響は今もなお続いています。

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