TOTO XX

TOTO XX (1977-1997)

『TOTO XX』は、アメリカのロックバンド、TOTOが1998年にリリースしたスペシャルアルバムです。バンドのデビュー20周年を記念して企画された本作には、これまでに公式発表されることのなかったスタジオ録音の別テイクや、貴重なライブパフォーマンスの音源が収められています。しかし、単に未発表の音源ばかりを集めたものではなく、TOTOとしての作品にはならなかったものの、後に他のアーティストに提供されたり、作曲者自身のソロアルバムに収録されたりした楽曲も含まれている点が特徴です。

収録内容

このアルバムは、バンドの歴史における様々な時期に録音された多様な楽曲で構成されており、TOTOの音楽性の幅広さや、制作過程で生まれては日の目を見なかった興味深い音源に触れることができます。主にスタジオアウトテイクとライブ音源に大別されます。

スタジオアウトテイク

スタジオで制作されたものの、正規のアルバムには収録されなかった楽曲群です。これらの音源からは、アルバム制作時の試行錯誤や、バンドメンバーの個人的なプロジェクトとの関連性なども垣間見えます。

ゴイング・ホーム (Goin' Home)
1989年に録音されたこの曲は、本来はボーカルのボビー・キンボールがTOTOへ復帰する際に発表される予定でしたが、彼の復帰が実現しなかったため、残念ながらお蔵入りとなりました。作曲者の一人であるジョセフ・ウィリアムズは、後に自身のソロアルバムでこの曲を発表しています。TOTOバージョンでは、ジョセフ自身もコーラスで参加しています。

テイル・オブ・ア・マン (Tale of a Man)
1979年の録音で、ボーカルはボビー・キンボールが担当しています。

ラスト・ナイト (Last Night)
1987年に録音された楽曲で、ボーカルはジョセフ・ウィリアムズです。

イン・ア・ワード (In a Word)
1986年の録音。ジョセフ・ウィリアムズがボーカルを務め、当時リリースされたシングル「I'll Be Over You」のカップリング曲として発表されていました。

モダン・アイズ (Modern Eyes)
1986年に録音された楽曲で、ボーカルはデヴィッド・ペイチが担当しています。

ライト・パート・オブ・ミー (Right Part of Me)
1984年の録音。この曲でボーカルを務めるボビー・キンボールは、録音直後にバンドを脱退しており、その時期の貴重な音源と言えます。

ミセス・ジョンソン (Mrs. Johnson)
バンド初期にあたる1977年に録音された楽曲で、ボーカルはボビー・キンボールです。

ミス・サン (Miss Sun)
こちらも1977年の録音で、デヴィッド・ペイチがボーカルを務めています。この曲は、後にボズ・スキャッグスに提供され、彼の代表曲の一つとして大きなヒットを記録しました。

ラブ・イズ・ア・マンズ・ワールド (Love Is a Man's World)
1977年の録音で、ボーカルはデヴィッド・ペイチです。

ライブ音源

アルバム後半には、臨場感あふれるライブパフォーマンスの音源が収録されています。

オン・ザ・ラン (On the Run)
1991年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの演奏。スティーヴ・ルカサーがボーカルを担当しています。この曲はスタジオバージョンが存在せず、このライブ音源が唯一の公式バージョンとなっています。

デイヴズ・ゴーン・スキイング (Dave's Gone Skiing)
1998年、南アフリカのヨハネスブルグにあるスタンダード・バンク・アリーナでのライブ録音です。アルバム『Tambu』に収録されているインストゥルメンタル曲のライブパフォーマンスです。

Baba Mnumzane
同じく1998年のヨハネスブルグ公演より。この曲は、地元のミュージシャンと共演した際に演奏されました。

* アフリカ (Africa)
TOTOの代表曲であり、アルバム『聖なる剣 (Toto IV)』収録曲です。1998年のヨハネスブルグ公演でのライブバージョンが収録されています。

『TOTO XX』は、単なるベスト盤やライブアルバムとは異なり、バンドの知られざる一面や、楽曲が完成に至るまでの過程、そして特定の時期における貴重なパフォーマンスを記録した、ファンにとって非常に興味深い作品と言えるでしょう。このアルバムを通じて、彼らの豊かなキャリアの一端を深く掘り下げることができます。

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