ボビー・キンボール

ボビー・キンボール：TOTOの初代ボーカリスト、その音楽人生

ボビー・キンボール（Bobby Kimball）は、1947年3月29日、アメリカ合衆国で生まれました。本名をロバート・トロイ・キンボールと言い、ロックバンド「TOTO」の初代ボーカリストとして世界的に知られています。彼の音楽キャリアは、TOTOでの成功、脱退後の活動、そして再加入と、波瀾万丈なものでした。

若き日の音楽との出会い

ルイジアナ州の音楽一家に生まれたキンボールは、幼少の頃から歌い始め、ピアノも演奏するようになりました。1970年代には、ニューオーリンズの様々なバンドでボーカリストを務め、その中には後にLe RouxとなるThe Levee Bandも含まれていました。1976年には、S.S.フールズに加入し、リードボーカルとキーボードを担当。同名のアルバムをリリースしましたが、最初のツアー中にバンドは解散してしまいます。

TOTOへの加入と成功

1977年、キンボールはロサンゼルスに移り、スティーヴ・ルカサーやデヴィッド・ペイチらとTOTOを結成しました。オーディションでは、自作曲「You are the Flower」を提供し、見事メンバーの座を射止めます。この曲は、TOTOのデビュー・アルバム『宇宙の騎士』にも収録されています。

TOTOでは、4枚のオリジナル・アルバムに参加。1982年には、グラミー賞を受賞した『TOTO IV〜聖なる剣〜』で世界的な成功を収めました。しかし、1984年の5枚目のアルバム『アイソレーション』制作中に、薬物問題やメンバー間の衝突が起こり、TOTOを脱退することになります。

TOTOというバンド名について、キンボールの苗字（Toteaux）が由来であるという説がありますが、これは初代ベーシストのデヴィッド・ハンゲイトが、キンボールの出身地であるルイジアナにちなんで付けたジョークが広まったものです。

TOTO脱退後の活動

TOTOを去った後、キンボールはドイツに移住し、ファー・コーポレーションで活動しました。セッションシンガーとしても活動し、様々なアーティストのバッキング・ボーカルを務めました。1989年から1990年にかけては、TOTO復帰を前提にベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』への新曲レコーディングに参加しましたが、レコード会社の意向でジャン・ミシェル・バイロンが加入し、キンボールの楽曲はお蔵入りとなりました。その後、バイロンは解雇され、1991年から1997年まではルカサーがメイン・ボーカルを務めました。1990年代後半には、ライブ・アルバム『Classic Toto Hits』を発表し、フランクフルト・ロック・オーケストラとのアルバムもリリースしています。1994年には、初のソロ・アルバム『ライズ・アップ』を発表しました。

1997年には、日本のレコード会社企画の「ウエスト・コースト・オールスターズ」に参加。ジョセフ・ウィリアムズ（元TOTO）、ビル・チャンプリン（元シカゴ）、ジェイソン・シェフ（元シカゴ）とア・カペラ・アルバムをリリースしました。

TOTOへの復帰とその後

1998年、TOTOの20周年記念アルバム『TOTO XX』で、キンボールはTOTOに復帰を果たします。このアルバムには、かつて『グレイテスト・ヒッツ』のためにレコーディングされた楽曲も収録されています。キンボールは正式メンバーとして迎えられ、1999年には『マインドフィールズ』を発表しました。

2000年には、2枚目のソロ・アルバム『All I Ever Needed』をリリース。TOTOが2002年にカバー・アルバム『スルー・ザ・ルッキング・グラス』を発表した後、2003年にはオランダのバンド、カヤックのツアーに参加しました。

TOTOは2006年に『フォーリング・イン・ビトゥイーン』を発表しましたが、2008年に解散を発表。その後、2010年にマイク・ポーカロを支援するためのツアーで一時的に再結成されましたが、キンボールは参加しませんでした。

解散後の活動と現在

TOTO解散後、キンボールは若手歌手を支援するウェブサイトを運営。2010年には、元イエスのメンバーらとYOSOを結成し、ライブ活動を行いました。2011年には、サバイバーのジミ・ジェイミソンとのプロジェクト作品をリリースしています。

2019年には、認知症を患っていることが報じられ、ルカサーもこれを認めました。2023年現在、キンボールの音楽人生と認知症との闘いを描いたドキュメンタリー映画が制作されています。

ボビー・キンボールは、その歌声と音楽への情熱で、多くのファンを魅了し続けています。

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