TOYOTA LONGPASS EXPRESS

TOYOTA LONGPASS EXPRESS（トヨタ ロングパス エクスプレス）

TOYOTA LONGPASS EXPRESSは、トヨタ自動車の製品や部品を円滑に輸送するために設計されたコンテナ貨物列車です。この列車は、日本貨物鉄道（JR貨物）および名古屋臨海鉄道によって2006年11月15日から運行されています。愛称として、ロンパス、トヨロン、TLEなどの通称があります。

この列車の主な目的は、愛知県を中心に配置されるトヨタ関連の工場で製造された部品を、岩手県のトヨタ自動車東日本岩手工場に効率的に運搬することです。名古屋南貨物駅と盛岡貨物ターミナル駅を結び、1日1往復の運行体制を持つこのサービスは、同工場の部品輸送量の約80％を担っています。

自動車部品の運送は、かつては内航海運に依存していましたが、輸送要求の増大や情勢の変化により、この方式では間に合わなくなってきました。その結果、トヨタは鉄道輸送への転換を決定し、TOYOTA LONGPASS EXPRESSが誕生しました。これは、運送のモーダルシフトを促進する新たな試みとしても重要です。

運行体系

TOYOTA LONGPASS EXPRESSは、名古屋南貨物駅から盛岡貨物ターミナル駅まで、東海道本線と東北本線を経由して運行されます。列車は最高速度100km/hの高速貨物列車で、名古屋から盛岡までの所要時間は約15時間から20時間です。

この列車は主に「コキ100系」タイプのコンテナ車を使用し、場合によっては他の形式の車両も組み合わせて運行されます。最大で40個の専用コンテナ（U55A形）を載せることができ、運行中は外部のやり取りがないため、効率的に運べるよう設計されています。また、機関車も名古屋南貨物駅から盛岡貨物ターミナルまでの各所で適したものが使用されています。

運行経路は名古屋南貨物駅から名古屋臨海鉄道南港線・東港線経由で笠寺駅に至り、さらに東海道本線を介して新鶴見信号場を経由、武蔵野線を使って大宮操車場を経由し、最後に東北本線を通って盛岡貨物ターミナル駅に到着します。運行中に途中の停車駅はなく、スムーズな発進と到着が強調されています。

2007年10月22日からは、土日を除いて1日2往復運行に増加しましたが、2009年には世界的な経済危機の影響で1往復が操業休止の扱いとなりました。しかし、その後の市場回復と生産体制の見直しにより、同年に再び2往復運行に戻りました。

特筆すべきは、2016年以降の運行形態の変更です。盛岡ターミナル行きの列車は時から時刻が変わり、定期的に発車する便が増えました。また、近年では佐川急便が北東北向けのコンテナを活用した新たな輸送プランを開始し、より効率的に部品を配送できる体制が整っています。

現在、名古屋発の列車は新鶴見までの区間が2050・4051列車（深夜発）、盛岡発の列車では4052・2051列車（午前発）です。運行の柔軟性や高効率な部品輸送への取り組みが評価されており、その利便性はトヨタ自動車の製造プロセスにおいて欠かせないものとなっています。

最終的に、部品は盛岡貨物ターミナルで専用のトレーラーに積み替えられ、さらには東北自動車道や国道4号を経由し、岩手工場まで運ばれます。このような効率的な輸送ネットワークは、トヨタ自動車にとって極めて重要であり、今後も鉄道を基盤にした新しい物流のあり方が模索されることでしょう。

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