盛岡貨物ターミナル駅

盛岡貨物ターミナル駅：東北地方の物流を支える拠点

盛岡貨物ターミナル駅は、岩手県盛岡市永井に位置する、日本貨物鉄道（JR貨物）の貨物駅です。東北本線上にある地上駅で、東北地方の物流における重要な役割を担っています。

歴史：東北新幹線開業と歩みを共にする

1974年、東北新幹線工事による盛岡駅改良工事に伴い、盛岡駅の貨物設備を移転する形で開業しました。当初は小荷物の取扱いも行っていましたが、1978年に廃止。その後、日本オイルターミナル盛岡営業所の開業（1981年）や、盛岡機関区との統合による盛岡総合鉄道部の設置（1999年）など、駅は規模を拡大し、機能を強化してきました。

2001年には仙台港駅との間で石油輸送高速貨物列車の運行を開始。2006年には「TOYOTA LONGPASS EXPRESS」の運行も開始し、自動車部品輸送でも重要な役割を担うようになりました。

東日本大震災（2011年）では、被災した東北本線・常磐線の代替輸送において、燃料輸送で重要な役割を果たしました。そして2024年には、新たな総合事務所が完成。JR貨物の駅事務所に加え、5社の利用運送事業者の事務所も集約され、コンテナと一般トラックの積替ステーションの建設用地も確保されました。

駅構造：広大な構内と近代的な設備

盛岡貨物ターミナル駅は南北に長い構内を持ち、北側にはコンテナホームが2面4線設置されています。日本オイルターミナル盛岡営業所も構内に位置し、石油製品の荷役設備への側線も敷設されています。南側には本線との分岐点や着発線が整備され、上下本線に沿って上下2本ずつの着発線があり、これらの着発線からホームなどへ向かう側線が分岐しています。下り本線と側線の平面交差を避けるため、交差部分の下り本線は高架構造となっています。

駅舎はホームの北側にあり、2024年に完成した2階建ての新たな総合事務所は、駅事務所に加え、利用運送事業者5社の事務所も集約して入居しています。青森総合鉄道部盛岡貨物ターミナル派出、盛岡総合鉄道部の貨車検修部門、盛岡メンテナンスステーションも併設し、全貨物列車の運転士交代もここで行われます。愛知機関区所属のDD200形ディーゼル機関車が常駐し、入換作業を担っています。

貨物取扱：多様な貨物に対応

盛岡貨物ターミナル駅は、コンテナ貨物と車扱貨物の両方を扱います。コンテナ貨物は、JR規格の12ft、20ft、30ftコンテナとISO規格の20ft海上コンテナを取り扱っており、米、線材、合板などの発送貨物と、清涼飲料水、紙、食料工業品、化学工業品などの到着貨物が多く取り扱われています。産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の取扱許可も取得しており、幅広い貨物の輸送に対応しています。

車扱貨物では、日本オイルターミナル盛岡営業所へ送られるガソリンなどの石油製品の取扱いが中心で、仙台北港駅（ENEOS仙台製油所）からの輸送が主体となっています。

2010年には、全国初となる貨物駅内にある内陸の通関物流基地（インランド・デポ）が設置されました。東北各地からの輸出入貨物を集め、京浜港（東京貨物ターミナル駅）との間で鉄道輸送を行うことで、モーダルシフト推進とCO2排出量削減、ドライバーの長距離運転負担軽減に貢献しています。

貨物列車：広範囲への輸送ネットワーク

盛岡貨物ターミナル駅には、多くの貨物列車が運行しています。高速貨物列車（コンテナ輸送列車）は、八戸貨物駅・東青森駅方面への下り列車と、仙台貨物ターミナル駅、隅田川駅、東京貨物ターミナル駅、名古屋貨物ターミナル駅、名古屋南貨物駅方面への上り列車が運行。特に「TOYOTA LONGPASS EXPRESS」はトヨタ自動車東日本岩手工場への輸送で重要な役割を担っています。さらに、仙台北港駅との間では、石油輸送列車が1日1往復運行されています。福山通運専用貨物列車「福山レールエクスプレス号」も運行されており、安治川口駅まで貨物を輸送しています。

利用状況と集配エリア

2005年度の取扱貨物量は、発送貨物が110,182トン、到着貨物が597,526トンでした。トラック集配エリアは二戸・久慈地域を除く岩手県内全域で、盛岡市中央卸売市場、盛岡中央郵便局、トヨタ自動車東日本岩手工場などへコンテナ単位で集荷を行っています。二戸・久慈地域は、郵便物を除き八戸貨物駅の担当です。

駅周辺

駅周辺には、岩手飯岡駅、盛岡市中央卸売市場、盛岡南公園球技場、東北自動車道盛岡南インターチェンジなどがあります。

盛岡貨物ターミナル駅は、今後も東北地方の物流を支える重要な拠点として、その役割を果たしていくでしょう。

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