TRS-80

TRS-80シリーズの概要

TRS-80は、1970年代後半から1980年代初頭にかけてタンディ・コーポレーションが展開した家庭用マイクロコンピュータのシリーズであり、特にアメリカで大きな人気を誇りました。このシリーズは、元々は単一の機種として発売されていましたが、次第にタンディから発表された様々なコンピュータがそのブランド名を冠することになり、名称がメーカー全体を象徴するものへと進化していきました。

TRS-80 Model Iの登場

TRS-80シリーズの最初のモデルであるModel Iは、1977年11月に出荷開始され、同年12月には小売店に並ぶこととなりました。この機種は、QWERTY配列のフルストロークキーボード、浮動小数点数をサポートするBASICプログラミング言語、モニターなどを内蔵し、当時599ドルの価格で販売されました。購入時の予約制を採用し、予約者は500ドルと手付金率50ドルを支払う形での販売が行われていました。

当初このコンピュータは単に「TRS-80」と呼ばれていましたが、後に互換性のないModel IIの発売後、Model Iと識別するために正式に名付けられるようになりました。Model Iは家庭用コンピュータ市場で非常に人気を集め、多くのソフトウェアが供給され、その販売数はApple IIシリーズの5倍を超えました。

人気の背景

TRS-80が空前のヒットを記録した理由の一つとして、ラジオシャックの全米での広範な店舗ネットワークが挙げられます。顧客は、近隣の店舗でコンピュータを購入するだけでなく、修理やアップグレードなどのサポートも受けやすい状態にありました。しかし、Model Iは小文字表示が不可能であったり、データ保存の複雑さからビジネスユースには向かないとされ、タンディ社は新型機の開発を急がせる要因となりました。

Model IIIとModel IV

その後、Model Iの改善版としてModel IIIが登場しました。この機種は、Model Iとの一部互換性を保ちながらも新しい機能を追加し、よりビジネス向けに特化したデザインとなる努力がなされました。さらに、完全な互換性を持つModel IVも開発され、1983年にはついにリリースされました。これにより、TRS-80のブランドは広がり続け、異なる硬件構成を持つ製品が市場に登場しました。

国内モデルとクローン

日本では、TRS-80のカナCPUモデルが1979年に登場し、家庭用にも広く普及しました。このモデルではカタカナや小文字に対応し、国内市場に特化していました。また、TRS-80のさまざまなクローンも登場し、世界中での市場を拡大しました。これにより、TRS-80ブランドは家庭用コンピュータの代名詞となり、多くのユーザーがプログラムを作成することに挑戦し、開発コミュニティを形成していきました。

最後に

TRS-80は今もなお、コンピュータのお歴史における重要な1ページを形成しています。その代表的なモデル群は、当時の技術水準を象徴しており、コンピュータの未来を開くきっかけを提供したと言えるでしょう。

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