The 101'ers

ザ・ワンオーワナーズ：ジョー・ストラマーの原点

ザ・ワンオーワナーズは、ジョー・ストラマーがザ・クラッシュに参加する前に所属していたことで知られる、1970年代のパブロック・バンドです。彼らは、ロンドンのパブシーンで独自の地位を確立し、後のパンク・ロックの隆盛に影響を与えました。

バンドの誕生と活動

1974年5月、ロンドンで結成されたザ・ワンオーワナーズは、当初「エル・ワーソウ・アンド・ザ・ワンオーワン(101)・オールスターズ」として活動を開始しました。その後、「ワンオーワン(101)オールスターズ」、「ワンオーワナーズ(101'ers)」とバンド名を短縮し、ストーンヘンジ・フリー・フェスティバルのような無料フェスティバルなどにも参加しながら、ロンドンのパブロック・シーンでその名を広めていきました。

バンド名の由来は、メンバーが共同生活を送っていたスクワットの住所「メイダヴェール、ウォルタートン通り101番地」から取られています。また、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する拷問部屋「101号室」に因んだという説もあり、パンク・ロック・ムーブメントの政治的要素を象徴するかのようです。

ジョー・ストラマーとパンク・ロックへの覚醒

1976年4月3日、ザ・ワンオーワナーズはナッシュヴィル・ルームズでセックス・ピストルズを従えたライブを行いました。このライブが、ストラマーがパンク・ロックに目覚めるきっかけになったと言われています。

ドキュメンタリー映画『The Clash: Westway to the World』の中で、ストラマーはドン・レッツに対し、「ピストルズの最初の曲を5秒聞いただけで、自分たちが過去の遺物になったと感じた」と語っています。この言葉は、彼の音楽的な転換点を示すとともに、パンク・ロックの衝撃的な登場を物語っています。

バンド解散とその後

ザ・ワンオーワナーズは、デビュー・シングルをリリースする前にストラマーがザ・クラッシュに加入したため、短命に終わりました。しかし、メンバーはその後もそれぞれの道を歩み、音楽シーンに貢献しました。クライヴ・ティンパレイはザ・パッションズ、ダン・ケルハーはザ・デレリクツ、リチャード・デュダンスキーはザ・レインコーツを経てパブリック・イメージ・リミテッドに参加。タイモン・ドッグはザ・クラッシュのアルバム『サンディニスタ!』に参加し、後にザ・メスカレロスに加入しています。

ザ・クラッシュの人気が高まるにつれ、ザ・ワンオーワナーズの楽曲も再評価されるようになり、1981年にはセカンド・シングルとコンピレーション・アルバム『Elgin Avenue Breakdown』がリリースされました。

ストラマーは2002年に亡くなる前に、『Elgin Avenue Breakdown』を未収録曲を含めて再リリースする計画を立てていました。この計画は、彼の死後、未亡人ルシンダ・テートと当時のドラマー、リチャード・デュダンスキーの手によって2005年に『Elgin Avenue Breakdown Revisited』として実現しました。

メンバー

ジョン・“ウッディ”・メラー（ジョー・ストラマー） - ギター、ボーカル
クライヴ・ティンパレイ - リード・ギター
マーウッド・チェスタートン - ベース（1976年にケルハーと交代）
ダン・ケルハー - ベース、ギター（1975年 - 1976年1月）
リチャード・デュダンスキー - ドラムス
サイモン・カッセル (Big John) - サックス
アルヴァロ・ペナ＝ロハス - サックス
アントニオ・ナルヴァエス - ドラムス
Jジュリアン・ユーダール - ボーカル、ハーモニカ
パトリック・ノザー - ベース（最初のギグ）
マーティン・ストーン - リード・ギター（最終ギグ）
タイモン・ドッグ - フィドル、ボーカル

ディスコグラフィ

シングル、EP

"Keys to Your Heart" b/w "5 Star Rock & Roll Petrol" (1976年、Chiswick Records)
"Sweet Revenge" b/w "Rabies" (1981年、Big Beat Records)
"Keys to Your Heart" (1985年、SMS Records) ※4曲入りEP
"1976" (2019年、Chiswick Records) ※4曲入りEP

コンピレーション・アルバム

Elgin Avenue Breakdown (1981年、Andalucia Records)
Five Star Rock'n'Roll (1993年、Made In Heaven)
* Elgin Avenue Breakdown Revisited (2005年、Astralwerks/EMI)

ザ・ワンオーワナーズは、短い活動期間ながらも、ジョー・ストラマーの音楽的なルーツを辿る上で重要なバンドであり、パンク・ロックの黎明期を彩った貴重な存在として記憶されています。

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