ドン・レッツ

ドン・レッツは、1956年1月10日生まれのイギリスの映画監督であり、ミュージシャンです。彼は、パンク・ロックとレゲエを融合させたDJとして知られています。

生い立ちと初期の活動

ロンドンで生まれたレッツは、1975年に流行衣料品店「アクメ・アトラクションズ」を経営していました。そこでは、独特なファッションアイテムや音楽が提供され、レッツ自身が影響を受けたジャマイカの音楽、特にボブ・マーリーの音楽が常に流れていました。1976年6月には、ボブ・マーリーのギグを観覧後、彼と親交を深めることに成功しました。

「アクメ」は、ザ・クラッシュ、セックス・ピストルズ、クリッシー・ハインド、パティ・スミス、デボラ・ハリー、ボブ・マーリーなど、多くの著名なアーティストが集まる場所となりました。

パンク・シーンへの貢献

「アクメ」の成功を見たアンディ・チェゾウスキは、ロンドンでナイトクラブ「ロキシー」をオープンしました。レッツは、「ロキシー」でDJを務め、パンク・ロックのレコードが少ない中で、ダブやレゲエのレコードを積極的にプレイし、ロンドンのパンク・シーンに新たな音楽を紹介しました。この活動は、ザ・クラッシュをはじめとする多くのバンドに影響を与え、彼の写真はアルバム『スーパー・ブラック・マーケット・クラッシュ』にも使用されました。

DJや「アクメ」での収入を元に、レッツは初期のイギリスパンク・ロックのドキュメンタリー映画『ザ・パンク・ロック・ムーヴィー』を制作しました。その後、彼はスリッツのマネージメントを手掛け、ザ・クラッシュのツアーの前座に起用させるなど、パンク・シーンに深く関わりました。

ジャマイカとの出会い

セックス・ピストルズの解散後、ジョニー・ロットンがジャマイカを訪れた際、レッツも同行しました。この旅行がきっかけで、リチャード・ブランソンはヴァージン・レコードからレゲエ専門のレーベル「フロントライン・レゲエ・レーベル」を立ち上げることを決意しました。

音楽活動

1978年には、キース・レヴィン、ジャー・ウォブル、スティール・レッグと共にEP『スティール・レッグ v・ジ・エレクトリック・ドレッド』を録音。また、ザ・クラッシュを解雇されたミック・ジョーンズと共に、1984年にビッグ・オーディオ・ダイナマイトを結成しました。現在も、BBCラジオ6ミュージックで番組を担当しています。

映画監督としてのキャリア

レッツは、『ザ・パンク・ロック・ムーヴィー』を皮切りに、数多くのバンドのドキュメンタリーやミュージック・ビデオを制作。1997年には、初の監督映画『ダンスホール・クイーン』の撮影のためにジャマイカを訪れました。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件発生時には、パンクの歴史映画の制作でニューヨークに滞在していました。彼の映画『ウェストウェイ・トゥ・ザ・ワールド』は、2003年にグラミー賞を受賞しています。

著書

2006年には自伝を出版し、自身の経験や音楽、映画に対する情熱を語っています。

ドン・レッツは、音楽と映画を通じて、パンク・ロックとレゲエの融合を推進し、多くのアーティストに影響を与え続けている重要な人物です。

もう一度検索