The Million Pound Drop Live

『The Million Pound Drop Live』は、参加者が与えられた巨額の現金をクイズの選択肢に賭けていくという、斬新なシステムを採用したクイズ番組です。オランダのエンデモル社が著作権を所有しており、イギリスで誕生して以降、その独特な形式が世界各地で注目を集め、アメリカや日本を含む30以上の国と地域で現地版が制作・放送されています。

基本ルール（イギリス版）

この番組の基本フォーマットであるイギリス版では、女性司会者のダヴィーナ・マッコールが進行役を務めます。挑戦者は2人一組で番組に臨み、スタート時に合計100万ポンド（50ポンド紙幣500枚が1束となったものが40束）という莫大な現金を文字通り「手渡されます」。

提示される問題は択一形式で、解答者は正解だと思う選択肢の上に手持ちの賞金を置く「ベット」を行います。複数の選択肢に分けてベットすることも可能ですが、不正解時のリスクを避けるため、全ての選択肢に賭けることは許されず、必ず1つ以上の選択肢を空にしておかなければなりません。また、手持ちの賞金は全てベットし終える必要があります。

最もスリリングな瞬間は、解答発表時です。もし選んだ選択肢が不正解だった場合、その場所に賭けられた札束は足元の開いた穴からステージ下の奈落へと落下し、没収されてしまいます。正解の選択肢に賭けられていた金額のみが、次の問題へと持ち越される仕組みです。

問題数は段階的に減っていき、最初の4問は4択、続く3問は3択、そして最終問題は2択となります。各問題には1分間の制限時間が設けられています。最終問題も同様にいずれか一方の選択肢に全ての残金を賭けることになるため、正解すれば残った賞金の全額を獲得できますが、不正解の場合は賞金がゼロとなり、全てを失います。イギリス版はタイトルに「Live」とある通り、原則として生放送で進行されます。

各国版

アメリカ版

アメリカでは『Million Dollar Money Drop』と題され、2010年12月20日に放送が開始されました。司会は俳優のケヴィン・ポラックが務め、賞金は合計100万ドル（20ドル紙幣1000枚が1束となったものが50束）が用意されました。問題形式はイギリス版とほぼ同じ7問構成（4択が3問、3択が3問、最終問題が2択）でしたが、制限時間は4択が60秒、3択が75秒、最終問題は無制限という違いがありました。

しかし、第1回目の放送後、あるクイズの正解に関する疑念が生じ、大きな波紋を広げました。「店舗で売り出されたのが一番早かった商品はMacintoshのコンピュータ、ソニーのウォークマン、ポストイットのどれか？」という問題で、番組ではウォークマンが正解とされましたが、後にポストイットの発売がウォークマンより早かったとする資料が発見されたのです。

この誤答問題はアメリカ全土のニュース番組で報じられ、番組はわずか3ヶ月で打ち切りとなる事態に至りました。番組制作側は誤りを認め、謝罪を行いました。

日本版

日本では、まず2012年2月20日放送の『世界まる見え!テレビ特捜部』（日本テレビ系列）でアメリカ版の様子が紹介されました。その後、TBSテレビが正式にライセンスを取得し、特番として放送されました。タイトルは『2000万円落下クイズ!マネードロップ』とされ、2012年10月31日（水トク!枠）と2013年1月10日に放送されました。司会はユースケ・サンタマリアが担当し、芸能人ペア（とその家族）が挑戦する形式が取られました。正式なライセンス番組である証として、番組の最後にエンデモル社のロゴがクレジットされました。

第1回放送時のルールでは、合計2000万円（1000円札500枚が1束となったものが40束）が用意され、問題数はアメリカ版に準じた7問構成（4択3問、3択3問、2択1問）で、各問題の制限時間はイギリス版と同じ1分でした。この2000万円という賞金額は、当時、公正取引委員会による規制撤廃後では『スーパー$ミリオネア』と並ぶ国内クイズ番組史上最高額タイ記録でした。その後、同じTBS系列で2021年に放送された『クイズ!倍買』が2560万円の最高額を設定したため、現在では国内クイズ番組における賞金ランキングで2位タイとなっています。

また、第1回では7問中1度だけ「クイックチェンジ」という特別ルールを行使できました。これを使うと、ベットの配置についてさらに30秒間考える時間が与えられました。

第2回ではルールが一部変更され、問題数は4択3問、3択2問、最終問題の2択1問の合計6問に削減され、クイックチェンジは廃止されました。この回では賞金がそのまま出演者のギャランティとなる形式が取られ、挑戦者の家族（一般人）も応援として多数参加しましたが、解答中はバッテンマスクを着用して待機するという演出が加えられました。なお、千原兄弟が第1回放送で達成した「最終問題に全額を持って挑戦」という結果は、全世界でも過去に3例しかない快挙でした。

類似番組

『マネードロップ』の放送が始まるまでの間に、他局では似たシステムを持つ番組が放送されました。

現金王〜キャッシュキング〜

2012年7月27日にフジテレビで放送された番組です。ディーラーとして天の声形式でキャイ〜ンの天野ひろゆきが進行を務めました。4チームによるトーナメント形式で、各チームは模擬紙幣「ダイバ」（1ダイバ=100円）を持って挑戦。3択問題が出され、1分以内に手持ちのダイバを賭けます。不正解の賭け金は相手チームへ渡るという点が特徴でした。最終問題では所持ダイバが多いチームにアドバンテージが与えられ、決勝では1問勝負。優勝チームはキャッシュルーレットで獲得ダイバを最大10倍に増やせる可能性がありました（最高200万円）。

択

2012年10月6日に日本テレビで放送されました。ディーラーは20th Centuryの井ノ原快彦。観客の中から選ばれた一般人と芸能人がペアを組み、模擬ゴールドバー（1本5万円）100万円分を持って挑戦しました。「とある対象集団へのアンケート結果を予想する」クイズで、2択から4択の問題に対し、相談して賭ける場所と金額を決めました。不正解の賭け金はテーブルの傾きと共に没収されます。全7問構成で、2回までパスの使用が可能。最終的に残ったゴールドバーが賞金となりました。

もう一度検索