This Armor

アルバム『This Armor』の詳細

鬼束ちひろのセカンドアルバム『This Armor』は、2002年3月6日に発売されました。本作は、彼女のミリオンヒットを記録したデビューアルバム『インソムニア』の続編と位置づけられ、本人は「前作の延長線上」と形容しています。このアルバムのタイトルである「Armor（鎧）」について、鬼束は「響きが良いから」という理由に加え、「普段の服装やメイクを鎧に見立て、それを脱ぐことや装着することについて」という意図を持って選んだと語っています。タイトルの決定は『インソムニア』のリリース前から行われたとも言われています。

歌詞には「Armor」に関連するコンセプトが見受けられます。曲中の「剣」や「矢」、「盾」といったフレーズは多くのリスナーに受け入れられましたが、鬼束自身はそれを偶然の産物だと説明しています。また、ジャケット写真は沖縄県宮古島で撮影され、ライブツアーのパンフレットにも使用されています。

このアルバムに収録されている楽曲の中には、タイアップが施されるものも含まれていますが、ほとんどの曲はアルバムリリース後に決まったものです。元々収録予定だった「A Horse and Queen」は、アルバムのコンセプトに合わないために見送られ、代わりにシングル「月光」のカップリング曲「Arrow of Pain」が収録されました。この「A Horse and Queen」は後にタイトルを変更し、2007年に発売された4thアルバム『LAS VEGAS』に収録されています。

収録曲

全ての作詞・作曲は鬼束ちひろが手掛けており、編曲は羽毛田丈史が担当しています。主な収録曲には以下が含まれます。

• - ROLLIN' - テレビ朝日系『完売劇場』のエンディングテーマ。
• - 茨の海 - 映画『群青の夜の羽毛布』の主題歌。
• - 流星群 - シングルとしてリリースされた楽曲。
• - LITTLE BEAT RIFLE (album ver.) - シングルのアレンジバージョンで、キーを半音下げてバラードにアレンジされています。
• - infection - シングルの曲で、mixの違いが明らかです。
• - CROW - アルバムの核となる楽曲で、カラスに対する憧れを歌っています。

各楽曲の背景には、鬼束自身の感情や視点が反映されており、例えば「ROLLIN'」ではロールプレイングゲームのようなテーマを扱っており、楽しさとその裏に潜む苦悩が混在しています。「茨の海」ではアイリッシュホイッスルを用い、洋と和の融合を果たしていますが、鬼束はその作品が生まれたことに驚いている様子が窺えます。

また「Our Song」は初めての英語詞の楽曲として注目を集め、CM用に創作された背景がありますが、視聴者の要望を受けてCD化されました。これは鬼束にとって新しい挑戦となったことでしょう。

音楽的特徴

各楽曲は鬼束の多様な音楽性が反映されており、感情豊かなボーカルと多彩な楽器の動きによって構成されています。特に「CROW」では、鬼束のカラスに対する憧れが込められた歌詞が心に響きます。彼女が持つ独特の視点と感性が、本作全体を通じて感じられ、聴く者に強い印象を残します。

アルバム『This Armor』は、鬼束ちひろのアーティストとしての成長を示す重要な作品であり、彼女の音楽の深さと魅力を知るきっかけともなるでしょう。

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