Tilting Train eXpress

ティルティングトレインエクスプレス（TTX）について

ティルティングトレインエクスプレス、略してTTXは韓国で開発された最初の車体傾斜式特急電車です。2000年8月から始まったこのプロジェクトは、高速鉄道の実用化に向けた研究開発の一環として進められました。TTXは、韓国型振り子特急電車として位置づけられ、曲線区間をスムーズに通過することを目的に設計されています。

開発の経緯

TTXは、2006年にロテム社によって試作車両が完成し、2007年3月には納入され、韓国鉄道技術研究院で実験が行われました。このプロジェクトに対しては、860億ウォンが投じられ、曲線区間の多い太白線や忠北線における運行時間の短縮が計画されました。この新技術は、既存の鉄道に新しい線路を敷設することなく速度を向上させる最も効果的な手段とされました。

しかし、開発が進むにつれて、国土部は方針を変更しました。2011年には、TTXが計画されていた路線がすべて直線化・高速化され、このためTTXの導入は見送られることになりました。

TTXの技術的特長

TTXは、電気機械式アクチュエータを利用したリンク式車体傾斜台車を搭載しています。車体を傾けて曲線に進入することで、従来の車両よりも約20km/h以上の速度向上が実現可能です。車体の傾斜を検知するためには、加速度センサー、ジャイロセンサー、GPSが活用されており、高精度での運行が期待されています。

車体は韓国ファイバーによって開発されたカーボンハニカム複合材で一体成形されており、鋼製車体と比べて約40%の軽量化を実現しています。この素材の採用により、高速性能を維持しつつ、運行効率を高めています。

さらに、車両の台車には、円筒積層式の軸ばねが採用され、枕ばねには空気ばねが使われています。これらの組み合わせにより、安定した走行が可能となっています。また、集電装置も傾斜時に離線を防ぐために柔軟に対応できる設計となっており、運行の安全性を高めています。

制御システム

TTXは、可変電圧可変周波数制御（VVVF）方式のシステムを採用しており、三相誘導電動機を制御します。この技術により、最高速度200km/hの性能を持つことができ、電装品は宇進産電によって開発されています。また、列車制御システムは、車体傾斜式電車用に改良されたTCMSを搭載し、より効率的な管理が可能です。

結論

ティルティングトレインエクスプレスは、韓国における鉄道技術の革新を象徴する存在として計画されましたが、運行計画の変更により導入されることはありませんでした。しかし、その技術的特長や開発過程は、将来的な鉄道技術の発展に貢献する可能性を秘めています。

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