Tokyo Real

RYUによるケータイ小説『Tokyo Real』は、その特異なテーマと舞台設定により注目を集めた作品です。従来のリアル系ケータイ小説が郊外や地方都市を主な舞台とすることが多かったのに対し、本作は「東京」という大都市の現実を背景に描かれています。インターネットや口コミを通じて読者の間で広まり、その反響を受けて書籍化、さらには映画化へと展開しました。

物語の概要

物語の中心となるのは、18歳の女子高生、本城アヤです。大人びた容姿を持つ彼女は、週末にはクラブへ通い、多くの知人と交流を持つ一方で、優柔不断で流されやすいという内面も抱えています。クラブへ遊びに行った際、ドラッグの売人であるヒデキと接触したことをきっかけに、好奇心から危険な薬物（MDMA）に手を出してしまいます。当初は軽い気持ちだったドラッグが、次第に彼女の日常を侵食し、依存へと繋がっていきます。

そんな中、アヤはクラブで出会った桐島ナオヤに強く惹かれ、二人は交際を始めます。22歳という若さで金融業の店長を務め、持ち前のカリスマ性で成功を収めたナオヤは、高級マンションに住み、高級ブランド品を愛用するなど、恵まれた環境で生活しています。美形で優しい彼は、後輩からの信頼も厚い人物です。アヤはナオヤとの関係を大切にしたいと願うようになり、ドラッグを断ち切る決意を固めます。しかし、一度手を出したドラッグの誘惑は強く、アヤは依存の苦しみから逃れることができません。ナオヤへの思いと薬物への依存との間で揺れ動き、次第に精神的に追い詰められていくアヤの姿が克明に描かれています。

親友である三崎ユウコは、アヤのクラスメイトであり、何をするにもアヤと行動を共にする存在です。ドラッグに蝕まれていくアヤの身を案じますが、アヤは彼女の心配にも耳を傾けられないほど、依存の泥沼にはまっていきます。ドラッグを勧めたヒデキは、自身も薬物を常習する売人として登場します。また、ナオヤの過去の恋人であるキャバクラ嬢のミホも登場し、二年前の破局後もナオヤへの未練を断ち切れずにいます。

本作は、ドラッグ依存という重いテーマを扱いながらも、若者たちの恋愛や友情、そして都市の持つ光と影を描き出しています。

書籍化と映画化

『Tokyo Real』は口コミでの話題を経て、2006年4月30日に単行本として出版されました。さらにその人気を受けて、翌年の2007年8月18日には映画版が公開されています。

映画版はモブキャストの配給により上映され、上映時間は84分でした。主な出演者は以下の通りです。

本城アヤ：秦みずほ
桐島ナオヤ：米光雄作
南まい
河野智典
川口貴弘
MARU
比嘉愛
竹下茄人

主要スタッフは以下の通りです。

監督：笠木望、湯本美谷子
製作：森本勝己、藪考樹、上野道雄
プロデューサー：川端基夫、兔丸誠治（マンモス・テーブル）
撮影監督：山田真也
音楽：phantasticM
ヘアメイク・衣装：大内聖子
助監督：江利川深夜
制作：宮下幸子
* アシスタントプロデューサー：田中美知太郎

製作は「TokyoReal」フィルムパートナーズ、制作はリバーソニックが担当しました。制作協力にはレフトハイ、モブキャスト、マンモス・テーブル、バンタン映画映像学院が名を連ねています。配給と宣伝はモブキャストが行いました。

映画では、主題歌としてICHIDAIによる「Tokyo Real 〜祈り〜」とTSUKASAによる「Prologue - SPACEY vs TOKYO REAL Remix」が使用され、挿入歌にはRAYTOの「Tokyo Real 〜No D.R.G. Edition〜」、TSUKASAの「IN MY HEART - HEAVENS WiRE RMX」、sinarioの「てんきてんきてんき」、青山操の「Distance 〜In Your Love〜」などが使われています。

もう一度検索