UボートXI型

UボートXI型：幻の巨大潜水艦

UボートXI型は、第二次世界大戦中にドイツ海軍が計画した、大西洋での作戦を想定した航洋型潜水艦です。その最大の特徴は、商船攻撃を目的とした大型艦砲の搭載でした。しかし、その巨大さゆえに量産には向かず、計画は幻に終わりました。

開発の背景

当時、ドイツ海軍は、大西洋における通商破壊戦を重視していました。そのため、長大な航続距離を持ち、敵商船を攻撃できる潜水艦が求められていました。そこで計画されたのが、XI型Uボートです。本型は、IXC型Uボートを大幅に上回る排水量を持ち、大型の艦砲を搭載することで、水上戦闘能力を高めることを目指しました。

特徴

XI型Uボートは、その大きさと搭載兵器において、従来の潜水艦とは一線を画していました。主な特徴は以下の通りです。

巨大な船体: 水中排水量は3,930トンに達し、IXC型Uボートの約3倍の大きさでした。これにより、長大な航続距離と多くの兵装を搭載することが可能になりました。
強力な艦砲: 12.7cm連装砲を2基搭載し、水上戦闘能力を高めていました。これにより、浮上した状態で敵商船を攻撃することが可能になり、魚雷を節約することができました。
多様な兵装: 魚雷発射管、機関砲、機銃に加え、水上機まで搭載可能でした。これにより、対空防御能力や偵察能力も向上していました。
長大な航続距離: 20,600海里という長大な航続距離を持ち、大西洋全域での作戦行動が可能でした。

計画の中止

XI型Uボートは、1939年に4隻が起工されましたが、第二次世界大戦の勃発により、量産には不向きと判断され、建造は中止されました。その理由は、以下の点が挙げられます。

建造コストの高さ: 巨大な船体と複雑な構造のため、建造コストが非常に高額でした。
建造期間の長さ: 建造に時間がかかり、戦力化までに時間がかかりすぎました。
運用上の問題: 大きすぎる船体は、港湾施設への入港や運用上の制約が多く、柔軟な運用が困難でした。

主要諸元 (計画)

全長: 115m
全幅: 9.5m
喫水: 6.2m
水上排水量: 3,140t
水中排水量: 3,930t
速度 (水上/水中): 23.0kt / 7.0kt
水上航続距離: 20,600海里 (6.0kt)
水中航続距離: 50海里 (3.0kt)
兵装:
53cm魚雷発射管 × 6 (魚雷 × 12)
12.7cm連装砲 × 2
37mm機関砲 × 2
20mm機銃
水上機 × 1
乗員: 110名

まとめ

UボートXI型は、その革新的な設計思想にもかかわらず、時代の変化に対応できず、幻に終わった潜水艦でした。しかし、その計画は、後の潜水艦開発に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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