UボートXVIII型

UボートXVIII型：革新的技術の追求と計画中止

UボートXVIII型は、第二次世界大戦中にドイツ海軍が開発を試みた攻撃潜水艦です。特筆すべきは、ヘルムート・ヴァルターが提唱したヴァルター機関という非大気依存推進 (AIP) システムを採用していた点です。これは、高濃度の過酸化水素を燃料として使用することで、従来のディーゼルエンジンに頼らず、水中でより長い時間、高速での航行を可能にするという画期的なものでした。

開発の経緯

1943年1月4日、ドイチェヴェルケにおいてU-796とU-797の2隻が起工されました。しかし、同年12月14日には、建造がクルップ・ゲルマニアに移管されることになります。当初、XVIII型はドイツ海軍の期待を背負い、完成に向けて開発が進められる予定でした。しかし、当時のドイツは、より実用的な潜水艦の大量建造を急いでおり、革新的ではあるものの、技術的に複雑でコストもかかるXVIII型よりも、より従来の技術に基づいたXXI型の建造が優先されることとなりました。その結果、1944年5月、XVIII型の建造は中止という決断が下されました。

ヴァルター機関とは

ヴァルター機関は、潜水艦の水中行動能力を飛躍的に向上させる可能性を秘めていました。従来の潜水艦は、水上ではディーゼルエンジンで航行し、潜水時にはバッテリーでモーターを駆動していました。しかし、バッテリーの容量には限界があり、水中での活動時間は限られていました。ヴァルター機関は、大気中の酸素を必要とせずに推進力を得られるため、理論上は長期間の潜水が可能となります。高濃度の過酸化水素を触媒と反応させることで、高温の水蒸気と酸素を発生させ、この水蒸気でタービンを回して推進力を得る仕組みです。しかし、高濃度の過酸化水素は取り扱いが難しく、安全性や安定性の面で課題が残されていました。

同型艦

U-796
U-797

まとめ

UボートXVIII型は、革新的なヴァルター機関を搭載した、当時としては非常に先進的な潜水艦でした。しかし、技術的な課題や、戦況の変化による優先順位の見直しにより、最終的には建造中止という道を辿りました。しかし、その開発で得られた技術や経験は、後の潜水艦開発に大きな影響を与えたと考えられます。特に、非大気依存推進 (AIP) の概念は、現代の潜水艦技術においても重要な要素となっています。

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