U・ボート (映画)

U・ボート (1981年の映画)

『U・ボート』（原題：Das Boot、英題：The Boat）は、ウォルフガング・ペーターゼン監督による1981年の西ドイツの戦争映画です。ユルゲン・プロホノフ、ヘルベルト・グレーネマイヤーなどが出演し、1982年に日本で公開されました。1997年にはペーターゼン自身が編集したディレクターズ・カット版が公開されています。

概要

原作はロータル＝ギュンター・ブーフハイムがU-96に同乗取材した経験を基にした小説『Uボート』。第二次世界大戦中、大西洋で活躍したドイツの潜水艦Uボートの艦内を舞台に、極限状態における人間の姿をリアルに描いています。当初はテレビシリーズとして製作が開始され、それを映画として編集したものが1981年に公開されました。

1984年にはイギリスBBC2で全6話のドラマシリーズが放映され、約700万人が視聴。翌年にはドイツのテレビでも放送され、高い視聴率を記録しました。1982年にアメリカで映画が公開されると、アカデミー賞で6部門にノミネートされるなど、国際的に高く評価されました。監督・脚本のウォルフガング・ペーターゼンは、本作をきっかけにハリウッドへ進出しました。

構想から完成まで4年、巨額の製作費を投じてUボートの実物大レプリカが建造されました。物語が進むにつれ、乗組員の汚れや髭、匂いまで演出され、他に類を見ない迫力で極限状態が表現されています。出演者は当時無名の俳優でしたが、本作を出世作として活躍する者も少なくありません。

クラウス・ドルディンガーによるテーマ曲は、1991年にテクノ風にリミックスされ、ヨーロッパを中心にヒットしました。2018年からは続編としてテレビドラマシリーズ『Uボート ザ・シリーズ　深海の狼』が制作されています。

ストーリー

1941年秋、ナチス・ドイツ占領下のフランス、ラ・ロシェル港からUボート「U96」が出航します。任務は連合国護送船団への攻撃。報道班員のヴェルナー少尉は、Uボートの戦いを取材するためU96に乗り込みます。歴戦の艦長、古参のクルー、若い水兵たちと共に、北大西洋での孤独な索敵行、敵船団への攻撃、そして敵駆逐艦のソナー音と爆雷の恐怖を体験します。疲労した乗組員たちはクリスマスには帰港できることを願いますが、母国からの指令はジブラルタル海峡突破という過酷なものでした。中立国スペインで補給を受けたU96は、厳重警戒下のジブラルタル海峡突破に挑みます。艦長、ヴェルナー少尉、そして乗組員たちを非情な運命が待ち受けます。

主な登場人物

艦長: U96の艦長。歴戦のベテランで、上層部には冷ややか。モデルはハインリヒ・レーマン=ヴィレンブロック大尉。
ヴェルナー少尉: Uボートを取材する海軍報道班員。原作者ブーフハイムの体験が投影されたキャラクター。
機関長: 艦長と多くの航海を共にするベテラン機関長。
先任士官: メキシコ育ちの青年士官。生真面目な性格。
次席士官: 元銀行員で、陽気な冗談好き。
クリーヒバウム航海長: 艦長と航海を共にする下士官。天測を担当。
ウルマン: 士官候補生。フランスの花屋の娘と婚約している。
ヨハン: 機関兵曹長。機関室の現場責任者。
ヒンリッヒ兵曹: 聴音・通信担当。衛生兵も兼ねる。
ランプレヒト兵曹長: 水兵をまとめる役目を担う。
ピルグリム二等兵曹: グリースが臭い水兵。
アリオ: 短気な機関兵。
その他の兵士たち: 平均年齢19歳の経験の浅い水兵。
フィリップ・トムゼン大尉: 歴戦のUボート艦長。騎士十字章を受章。

潜水艦U96

本作の主人公艦。実在のU96は、第二次世界大戦中に最も多く建造されたVIIC型Uボートの1隻です。ヴィレンブロック大尉が初代艦長を務め、28隻を撃沈破する戦果を挙げました。計11度の作戦行動を生き延びた稀有な例ですが、劇中の哨戒行動や戦闘はフィクションです。

撮影背景

1979年から2年間かけて制作されました。長期間の撮影により、出演者は実際のUボート乗組員のような姿を再現することになりました。艦内シーンは実物大のセットで行われ、特撮シーンは模型を用いて撮影されました。建造されたUボートは、後に『レイダース/失われたアーク《聖櫃》|レイダース_失われたアーク《聖櫃》』にも登場しています。

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