U-571

U-571：北大西洋の死闘と、奪われた暗号機

2000年公開のアメリカ映画『U-571』は、第二次世界大戦下の北大西洋を舞台にした戦争スリラーです。ジョナサン・モストウ監督、マシュー・マコノヒー、ビル・パクストン、ハーヴェイ・カイテルといった実力派俳優が名を連ね、第73回アカデミー賞では音響編集賞を受賞しました。

映画は、ドイツ海軍のUボート『U-571』を舞台に展開します。イギリス駆逐艦の攻撃を受け漂流する『U-571』からの救難信号を傍受したアメリカ海軍は、大胆な作戦を実行します。潜水艦S-33を『U-571』に偽装し、救援を装って接近、乗っ取りを図り、ドイツ軍の最新暗号機エニグマの奪取を狙うのです。

しかし、作戦は容易ではありませんでした。救難信号に呼応し、ロリアン基地から救援に駆けつけた本物のUボートの襲撃を受け、S-33は撃沈され、乗組員の大半が命を落とします。生き残った数名の乗組員は、敵のUボート『U-571』を操作し、ドイツ軍の包囲網を突破しての生還を目指します。

この映画の見どころは、なんといってもその緊張感あふれる展開です。限られた人数、敵地での作戦、そして絶望的な状況下での生き残りへの闘争。観客は、手に汗握りながら、彼らの運命を見守ることになるでしょう。

さらに、本作にはジョン・[[ボン・ジョヴィ]]がヴォーカルを務めるバンド、ボン・ジョヴィの楽曲「Save the World」が起用されていることも注目点です。この曲は映画の世界観をさらに盛り上げており、作品全体の印象を深くする効果をもたらしています。

映画のモデルとなったUボート『U-571』は、1941年就役し、北大西洋やメキシコ湾で哨戒活動に従事しました。数々の艦船を撃沈、損傷させながら活躍した同艦は、1944年、オーストラリア空軍の攻撃を受けて撃沈されました。興味深いことに、この『U-571』の艦番号は、第二次世界大戦後にアメリカ海軍が就役させた世界初の原子力潜水艦『USSノーチラス(SSN-571)』と同じ番号です。

映画『U-571』は、エニグマ奪取という史実に基づいていますが、映画のようにアメリカ海軍がUボートに偽装して強行突入したという事実はありません。実際の作戦は、イギリス海軍によって実行されたものでした。1941年、イギリス海軍はU-110を拿捕しエニグマを入手、1942年にはU-559から暗号鍵を入手しています。そして1944年には、アメリカ海軍がU-505を捕獲し、エニグマを手に入れました。

映画は、これらの史実を参考に創作されていますが、そのスリリングな展開と緊迫感、そして豪華なキャストによって、多くの観客を魅了しました。Rotten Tomatoesでは批評家の68％が高評価を与え、平均点は6.29点。Metacriticでも平均点62点を獲得するなど、高い評価を得ています。映画は、素晴らしい撮影技術と、興味深いプロット、才能あるキャストとスタッフによって生み出された、見応えのある戦争スリラーとなっています。

この映画は、第二次世界大戦の歴史に興味がある方、戦争映画が好きな方、そして手に汗握るスリラーを体験したい方におすすめです。歴史的事実に基づいたフィクションとして、その迫力と臨場感あふれる描写は、忘れられない体験となるでしょう。

参考文献：「大西洋戦争―ヴォルフ・パックVSハンター・キラー (第2次大戦欧州戦史シリーズ)」学習研究所

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