U-Zプロジェクト

U-Zプロジェクト（ユー・ズィー・プロジェクト、U-Z Project）は、多才なキーボーディストでありエレクトリック・ヴァイオリニストでもあるイギリスの音楽家、エディ・ジョブソンが中心となって展開されたソロ・プロジェクトです。

プロジェクトの背景と概要

U-Zプロジェクトは、ジョブソンが率いていたUKZの活動が、メンバーの多忙なスケジュールや新曲制作の遅れといった要因から困難になったことを受け、その派生プロジェクトとして2009年に誕生しました。これは主にライブ活動に特化したバンドであり、ジョブソン自身を不動の中核としつつも、彼を取り巻くサポートミュージシャンはツアーごとに柔軟に入れ替わるという特徴を持っていました。参加メンバーは、常にその時代のトップクラスの技巧派プレイヤーたちが名を連ねました。レパートリーは、ジョブソンが過去に在籍した伝説的なバンド、UKやUKZの楽曲に加え、1970年代プログレッシブ・ロックの金字塔ともいえるキング・クリムゾン、マハヴィシュヌ・オーケストラ、エマーソン・レイク・アンド・パーマーなどの名曲群を幅広く取り上げていました。

主な活動の軌跡

プロジェクト始動後、U-Zプロジェクトは精力的なライブ活動を展開します。最初の重要な動きとしては、2009年8月に行われた東海岸ツアーが挙げられます。この時のバンドには、エディ・ジョブソン（キーボード、ヴァイオリン）を中心に、グレッグ・ハウとクリストファー・ポール・ロビンソンの両ギタリスト、ウォー・ギターのトレイ・ガン、そしてツインドラムとしてマルコ・ミンネマンとサイモン・フィリップスという豪華な顔ぶれが集結しました。

同年11月には、ポーランドでのライブが実現します。この公演には、先のメンバーからジョブソン、ハウ、ミンネマンに加え、元U.K.の盟友であるジョン・ウェットン（ボーカル、ベース）と、著名なチャップマン・スティック奏者トニー・レヴィンが参加しました。ジョブソンとウェットンが同じステージに立つのは、1979年12月17日のU.K.オランダ公演以来、実に約30年ぶりという記念すべき出来事でした。このポーランドでのライブは、実質的に3日間限定のU.K.「再結成」と見なされ、「U.K. 30th Anniversary」として大きくプロモートされました。

ウェットンとレヴィンがバンドを離れた後も、ジョブソンはリック・フィエラブラッチ（ベース）などを迎え、ロシアやローマで公演を行いました。特にロシアでの活動では、「キング・クリムゾン・プロジェクト」という名義を用いる場合もありました。ここでは再びトニー・レヴィンが加わり、エイドリアン・ブリュー・パワー・トリオとの共演も実現。キング・クリムゾンの代表曲である「インディシプリン」や「レッド」などが披露されました。

2010年6月には、U-Zプロジェクトとして再び日本を訪れます。この来日公演では、前回の来日からラインナップが大幅に変更されました。エディ・ジョブソンとドラムのマルコ・ミンネマンは引き続き参加しましたが、新たにマーク・ボニーラ（ボーカル、ギター）、TJヘルメリッチ（ギター）、凄腕ベーシストとして知られるビリー・シーン、そしてドラムのマイク・マンジーニといった強力なメンバーが加わりました。これは前年のUKZに続く、ジョブソンの連続した日本でのライブ活動となりました。

ディスコグラフィ

U-Zプロジェクトの活動は、ライブアルバムとして公式に残されています。2010年には、彼らのパフォーマンスを収録したアルバム『アルティメット・ゼロ・ツアー - ライヴ』（Ultimate Zero Tour - Live）がリリースされました。この作品は、プロジェクトのライブにおけるエネルギーと、参加ミュージシャンたちの高度な演奏技術を伝えています。

U-Zプロジェクトは、エディ・ジョブソンが自身の音楽的なルーツと新たな試みを、世界のトップミュージシャンたちと共にライブという形で具現化させた、短期間ながらも非常にインパクトのあるプロジェクトでした。その流動的な編成は、常に新鮮な響きと驚きをもたらし、プログレッシブ・ロックファンに強い印象を残しました。

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