UClibc

uClibcは、組み込みLinuxシステムのために設計された、軽量かつ効率的なC標準ライブラリです。その起源は、メモリ管理ユニット（MMU）を搭載しないマイクロコントローラで動作するμClinuxのニーズに応えるために開発されたことにあります。名称にある「u」は、ギリシャ文字の「μ（マイクロ）」をローマ字表記したもので、その小型性を象徴しています。

プロジェクトの創始者はErik Andersen氏であり、Manuel Novoa III氏も主要な貢献者として名を連ねています。uClibcは、GNU Lesser General Public Licenseの下でライセンスされており、自由ソフトウェアとして広く利用できます。

特徴

uClibcの最大の特徴は、そのサイズと効率性です。一般的なLinuxディストリビューションで使用されているGNU Cライブラリ（glibc）と比較して、uClibcは非常に小さいサイズに抑えられています。glibcは多岐にわたる機能を実装し、様々なハードウェアやカーネルに対応していますが、uClibcは組み込みLinuxに特化しており、必要最低限の機能に絞り込まれています。これにより、メモリ使用量を大幅に削減することが可能になります。

さらに、uClibcは機能単位での有効化/無効化をサポートしています。この柔軟性により、開発者は対象となる組み込みシステムに必要な機能のみを選択し、不要な機能を削除することで、リソースの制約が厳しい環境でも効率的に動作させることができます。

uClibcは、標準的なLinuxシステムだけでなく、MMUを持たないシステムでも利用可能です。対応プロセッサは多岐にわたり、Intel 80386、AMD64、ARM（両エンディアン対応）、AVR32、Blackfin、h8300、m68k、MIPS（両エンディアン対応）、PowerPC、SuperH（両エンディアン対応）、SPARC、v850などが含まれます。

歴史

uClibcの開発は1999年頃に始まりました。その多くはゼロからコーディングされましたが、glibcや他のプロジェクトから一部コードが取り込まれています。このアプローチは、既存のソフトウェア資産を有効活用しつつ、組み込みシステムに特化したライブラリを構築するための効率的な方法でした。

関連プロジェクト

uClibcの他にも、組み込みシステム向けのCライブラリとして、以下のようなプロジェクトが存在します。

Contiki: 省メモリな組み込みシステム向けのオペレーティングシステム。
newlib: 様々な組み込みシステム向けの軽量Cライブラリ。
dietlibc: サイズを重視したCライブラリ。

外部リンク

プロジェクト公式サイト: uClibcの公式ウェブサイト。
* Freshmeat project page: uClibcのプロジェクトページ。

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