UMTAS (ミサイル)

UMTAS: トルコの先進的な長距離空対地ミサイル

UMTAS（Uzun Menzilli Tanksavar Sistemi）は、トルコのロケットサン社により開発された長距離空対地ミサイルです。このミサイルは航空機やヘリコプターだけでなく、陸上車両や艦艇など多様なプラットフォームに搭載可能な点が特徴です。

開発の歴史と経緯

UMTASの開発は、戦車などの重装甲車両に対する攻撃能力を高めることを目指して始まりました。具体的には、国産のT129 ATAK攻撃ヘリコプターに搭載するために開発が開始され、最初の設計段階（フェーズ1）は2005年から2008年にかけて行われました。その後、本格的な開発段階（フェーズ2）は2008年から2015年にわたり進められました。

発射試験では、T129 ATAK攻撃ヘリコプターによる陸上目標戦闘や、SH-60B哨戒ヘリコプターによる海上目標への攻撃が含まれています。特筆すべきは、バイラクタル TB2無人航空機（UCAV）によるもので、これにより8キロメートル先の標的に精密に命中させることに成功しました。

技術的特性

UMTASは「撃ちっ放し」能力（Fire-and-forget）を具備しており、終末誘導用には画像赤外線シーカーを採用しています。弾頭部分に関しては、爆発反応装甲（ERA）に対抗できるよう設計されたタンデム式対戦車爆風破砕弾頭を使用しています。また、セミアクティブ・レーザー誘導方式を採用したL-UMTASも開発されており、こちらには4種類の異なる弾頭が備わっています。これらは、タンデム式対戦車爆風破砕弾頭、対戦車爆風破砕弾頭、対戦車高性能爆薬弾頭、サーモバリック弾頭の各タイプです。

さらに、ロケットサン社はUMTAS-GMを開発しており、これは射程を倍増させたミサイルです。UMTAS-GMは、陸上や艦艇から発射する場合は1キロメートルから16キロメートル、航空機からは1キロメートルから20キロメートルの範囲で敵を攻撃する能力があります。これにより、敵の射程圏外からの効果的な打撃が可能となります。

UMTAS-GMの開発では、ブロック1が先行しており、セミアクティブ・レーザー誘導と画像赤外線誘導を組み合わせたデュアルシーカーを搭載しています。続くブロック2では、可視光テレビを追加したハイブリッドシーカーが採用されており、昼夜を問わず高解像度の画像を提供することで、命中精度が向上しています。

型式および採用国

UMTASにはいくつかの派生型が存在します。主な型式は以下の通りです:

• - UMTAS: タンデム式対戦車爆風破砕弾頭、IIR誘導型
• - L-UMTAS: 複数の弾頭タイプを持つ、SALH誘導型
• - UMTAS-GM: 射程延伸型で、SALH/IIR誘導型

現在、このミサイルは主にトルコで採用されており、同国の防衛能力を大いに向上させています。UMTASの開発は、今後の軍事技術においても注目されており、他国の防衛産業にも影響を与える可能性があります。

参考文献

• - 石川潤一 『石川潤一の軍用機ウエポン事典 改訂版』 イカロス出版 2024年3月15日 ISBN 978-4-8022-1414-8

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