USA-165

USA-165 / XSS-11 衛星

USA-165、またはその正式名称であるXSS-11（eXperimental Satellite System-11）は、アメリカ合衆国の空軍研究所（AFRL）によって開発された小型人工衛星です。この衛星プロジェクトの主要な目的は、宇宙空間における高度な近接運用技術の実現可能性を実証することにありました。これは、将来的な軌道上サービスや宇宙での様々な活動において、宇宙機同士が安全かつ効率的に連携するための基礎となる技術です。

XSS-11が特に重点を置いて実証試験を行った技術項目は複数存在します。その一つは、軌道上での衛星に対する「修理」や「検査」の実施可能性です。これは、故障した衛星に接近して診断や修復を試みたり、あるいは衛星の状態を詳細に把握したりするための技術です。これらの能力は、衛星の運用寿命の延長や、異常発生時の迅速な対応を可能にする上で極めて重要となります。また、「偵察」も実証目的の一つであり、これは対象となる宇宙機に接近し、その機能や状況を把握するための技術開発の一環として行われました。

さらに、XSS-11の重要なミッション要素として、宇宙機の「自動マヌーバ」システムの試験が挙げられます。これは、地上からの詳細な制御指令に常に依存することなく、衛星自身がある程度の判断に基づいて軌道変更や姿勢制御といった機動を自律的に行う能力を検証するものです。このような自律性は、複雑な軌道上でのランデブーやドッキング、あるいは緊急時の対応など、多岐にわたる応用が期待される先進技術です。

この小型衛星は、宇宙産業大手であるロッキード・マーティン社によって製造されました。その設計における特徴の一つは、比較的軽量である点であり、総重量は約125kgです。

XSS-11の打ち上げは、2005年4月11日に実行されました。フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から、Minotaurロケットを用いて宇宙へと運ばれました。衛星は計画通り地球の低軌道に投入され、そこで一連の技術実証ミッションが開始されました。軌道上での運用は順調に進み、当初の計画期間を大きく上回る18ヶ月以上にわたって継続されたと記録されています。

XSS-11プロジェクトは、小型衛星というプラットフォームを活用し、将来の宇宙活動において不可欠となるであろう近接運用、軌道上サービス、そして自律システムといった先進技術の基礎を築くための重要な一歩となりました。このプロジェクトを通じて得られたデータと知見は、以降の宇宙機の設計や運用思想に影響を与え、持続可能でより高度な宇宙利用の実現に向けた貢献を果たしたと言えるでしょう。

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