USB4

USB4：高速データ転送と拡張性を両立した次世代USB規格

USB4は、USB Implementers Forum (USB-IF) が2019年8月に発表した、最新のUSB規格です。従来のUSB規格とは大きく異なり、高速データ転送と拡張性を両立した設計が特徴です。

主要な特徴

USB Type-Cコネクタの必須化: USB4では、USB Type-Cコネクタの使用が必須となりました。これにより、統一されたコネクタ形状による利便性向上と、より高性能なデータ転送を可能にしています。

USB Power Delivery (USB PD) の必須サポート: USB PDのサポートにより、より大電力の機器への給電が可能になり、電力供給能力の向上に貢献しています。最低でも7.5W（5V, 1.5A）の供給能力が求められますが、最大240Wまで供給可能です。

DisplayPortとPCI Expressのトンネリング: USB4では、DisplayPortとPCI Expressのトンネリングをサポートしています。1本のケーブルで、データ転送、映像出力、周辺機器接続などを同時に行うことができます。これにより、ケーブルの接続数を削減し、デスクトップの整理に役立ちます。

最大40Gbpsの高速データ転送: USB4は、最大40Gbpsのデータ転送速度をサポートします。これは、USB 3.2 Gen 2x2の2倍の速度に相当します。高速データ転送により、大容量ファイルの転送や高解像度映像の出力などがスムーズに行えます。ただし、公称速度は20Gbpsで、トンネリング利用時の実効速度はデータの種類によって変動します。

Thunderbolt 3との互換性: USB4はThunderbolt 3プロトコルを基に開発されており、Thunderbolt 3との相互運用性を備えています。ただし、ホストや周辺機器での互換性はオプション扱いですが、ハブやドックでは必須となります。

データ転送モード: USB4自体がデータ転送メカニズムを提供するわけではありません。主にUSB 3.2、DisplayPort、PCIeなどのプロトコルをトンネリングすることで動作します。ホスト間の通信にはネイティブのプロトコルも提供されますが、これはホスト間でのみ使用可能です。PCIeトンネリングがサポートされていない場合、非ディスプレイ帯域幅はUSB 3.2 20Gbps、もしくは10Gbpsに制限されます。

DisplayPort Alternate Mode 2.0のサポート: DisplayPort Alternate Mode 2.0のサポートにより、最大8K解像度、60Hz、HDR10に対応した映像出力が可能です。このモードでは、データレーンを全て使用して最大80Gbpsの帯域幅を利用できます。

レガシーUSBサポート: 従来のUSB 1.x、2.xもType-Cコネクタの専用レーンを通じてサポートされます。

USB4の開発と普及

USB4は、Apple、Hewlett-Packard、Intel、Microsoft、ルネサスエレクトロニクス、STマイクロエレクトロニクス、Texas Instrumentsといった企業の協力により開発されました。開発目標は帯域幅の拡大、USB Type-Cエコシステムの統合、そしてユーザーの混乱の最小化です。

2020年には、IntelのTiger Lakeプロセッサ搭載PCなどがUSB4対応機器として登場し始めました。AppleもMacBook Air、MacBook Pro、Mac miniにUSB4を搭載したモデルを発表しています。LinuxカーネルやmacOSなどもUSB4のサポートを表明し、ソフトウェア面での対応も進んでいます。

まとめ

USB4は、高速データ転送、拡張性、互換性を兼ね備えた次世代USB規格です。USB Type-Cコネクタの普及と、USB PDによる電力供給能力の向上も相まって、今後ますます普及が進むことが期待されます。PC、スマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスでの利用が想定されており、今後のデバイス開発において重要な役割を果たすと考えられます。

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