DisplayPort

DisplayPort：高精細デジタルディスプレイのためのインターフェース

DisplayPort（DP）は、液晶ディスプレイなどのデジタルディスプレイを接続するためのインターフェース規格です。通称DPと呼ばれ、VESA（Video Electronics Standards Association）によって策定されました。HDMIやDVIの後継規格として位置づけられており、高解像度・高速伝送に対応する点が大きな特徴です。

DisplayPortの誕生：アナログからデジタルへ、そして進化へ

従来、CRTディスプレイではアナログ信号を用いたVGAインターフェースが広く使用されていました。1999年にデジタル信号に対応したDVIが登場すると、VGAからの置き換えが進むと思われましたが、2000年代においては、高解像度化が進んでおらず、DVIへの移行は緩やかなものでした。

2010年代に入ると、ノートPCにおけるDVI端子の厚さに関する不満や、HDMIの普及によって、より小型で低コスト、将来的な高速化にも対応できる新たなインターフェースが求められるようになりました。こうした背景から、DVIに代わるインターフェースとしてDisplayPortの開発が進められ、2006年5月にバージョン1.0が発表されました。特に、2007年にはインテルがUDI規格からDisplayPortへの支持を表明するなど、業界全体の注目を集めました。

DisplayPortは、HDMIやDVIでは想定していなかった超高解像度への対応を視野に入れて開発されており、医療分野やCADなど特定のビジネス用途では、事実上、代替となる選択肢が存在しない状況となっています。この超高解像度サポートは、マルチディスプレイ環境での合計解像度を想定して設定されています。また、10bit以上のディープカラーにも対応しているため、高精細な画像表示を可能にしています。ビジネス・プロ向けのPCではDisplayPort、それ以外のPCではHDMIといった住み分けが現状では見られます。

DisplayPortの特徴：コスト、柔軟性、そして将来性

DisplayPortの大きな特徴の一つは、ライセンス料が無料である点です（ただし、後述するMPEG LAによるライセンス要求についてはVESAは認めていません）。これは、HDMIと比較して大きなメリットとなります。ただし、ケーブル両端に制御ICが必要なため、HDMIと比較するとケーブル製造コストは高くなります。また、規格へのアクセスにはVESAの会員資格が必要であり、年会費が発生します。

バージョン1.2以降では、複数のディスプレイをデイジーチェーン接続することで、マルチディスプレイ環境の構築が容易になりました（macOSは非対応）。PCやセットトップボックスがソース機器、モニタやプロジェクタがシンク機器として定義されており、ソース機器の対応状況によっては、DisplayPort-DVI/HDMI変換アダプタを使用して、DVI/HDMI機器との接続も可能です。

著作権保護技術HDCPにも対応しており、HDCPを利用した映像信号と音声信号の伝送が可能です。ただし、音声伝送はオプションであるため、対応機器と非対応機器が存在します。内蔵型ディスプレイのための派生規格も規定されており、ノートPCなどにも広く利用されています。さらに、DisplayPort Alt ModeによってUSB Type-Cとの連携も可能となり、より汎用性の高いインターフェースとなっています。USB4以降ではDisplayPort 2.0 Alt Modeへの対応が必須となっています。8K対応のDP8KにはDisplayPort High Bit Rate 3が用いられ、USB Type-Cとの接続が可能です。

DisplayPortの仕様とバージョン

DisplayPortは、継続的な進化を遂げており、数々のバージョンがリリースされています。各バージョンでは、解像度やリフレッシュレート、データ転送速度などが向上しています。主なバージョンと特徴は以下の通りです。

1.0 (2006年5月): 初期のバージョン
1.1, 1.1a (2007年3月, 2008年1月): 機能強化
1.2, 1.2a (2009年12月, 2012年5月): 高解像度サポート強化
1.3 (2014年9月): 更なる高解像度と高速化
1.4, 1.4a (2016年3月, 2018年4月): HDRサポート、USB Type-Cとの連携
2.0 (2019年6月): 8K解像度サポート
* 2.1, 2.1a (2022年10月, 2024年1月): 更なる高解像度と高速化

基本仕様としては、4組のレーンを持ち、最大データレートはバージョンによって異なります。各色の最大階調数は16ビット、音声信号はオプションで最大8チャンネルに対応します。

DisplayPort Dual-Mode (DP++)

DisplayPort Dual-Mode (DP++)は、パッシブアダプタを使用してHDMIやDVIディスプレイへの接続を可能にする規格です。多くのデバイスがサポートしていますが、速度制限や一方向性など、いくつかの制限があります。特に、USB Type-C経由でのDisplayPort Alt Modeでは、DP++はサポートされていません。

関連規格：eDP

Embedded DisplayPort (eDP) は、ノートPCなどの組み込みデバイス向けのディスプレイパネルインターフェース規格です。DisplayPortをベースとしていますが、バージョン番号は互換性がありません。eDPは、省電力機能や高解像度サポートなどを強化した規格です。

まとめ

DisplayPortは、高解像度・高性能なデジタルディスプレイ接続のための重要なインターフェース規格です。その柔軟性、拡張性、そして将来性から、今後も様々なデバイスで利用されていくことが予想されます。

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