UTAN

UTAN（ウータン）

『UTAN』は、かつて学習研究社（現・学研ホールディングス）から発行されていた日本の月刊科学雑誌です。その誌名は、科学を構成する主要な要素である「Universe（宇宙）」「Technology（技術）」「Atom（原子）」「Nature（自然）」の頭文字を組み合わせた造語に由来しています。

沿革

本誌は1982年7・8月合併号として創刊されました。翌9月号からは月刊誌としての刊行が始まり、主に中学生および高校生を読者対象としていました。学研が発行していた学習雑誌『科学』や『学習』を購読していた層が、中学進学などを機に『UTAN』へと移行するケースが多く見られました。販売ルートは、書店や一般的な小売店での取り扱いが主流でしたが、学研独自のルートである学研コンパニオンを通じた家庭への訪問販売でも購入が可能でした。

創刊当初は、著名な数学者である広中平祐氏が編集顧問として責任監修を務めました。誌面は、先行して刊行されていた教育社の科学雑誌『ニュートン』に類似しており、美しい写真や精密なイラストを多用し、それらに詳細な解説文を添えるという、ビジュアルを重視した構成が特徴でした。1985年に開催された国際科学技術博覧会（科学万博つくば’85）に際しては、誌面全体を万博特集に特化した号も刊行されています。また、誌名がオランウータンを連想させることから、オランウータンの保護活動に対する支援も行っており、一時期はオランウータンが雑誌のシンボルマークとして採用されたこともあります。

1980年代後半になると、誌面の内容には変化が見られるようになります。超能力や占い、ノストラダムスの予言といった疑似科学的なテーマを扱う特集が増加し、科学雑誌本来のテーマである宇宙や技術から離れ、軍事技術や国際紛争といった硬派な内容を取り上げることも珍しくなくなりました。この時期には、同じ学研から出版されていたオカルト情報誌『ムー』と記事内容が重複するようなケースも見られました。例えば、1986年8月号では、特集内でオウム真理教代表であった麻原彰晃氏のいわゆる「空中浮揚」現象を取り上げています。

1990年代に入ると、地球環境問題への社会的な関心の高まりを受け、「驚異の科学シリーズ」と称して環境関連の特集を重点的に組むようになります。このシリーズは読者からの好評を得て、毎月のように特集が組まれ、関連のムックも多数出版されるほどでした。しかし、その結果として、誌面は環境グラフ誌のような様相を呈するようになり、本来のテーマであった宇宙や技術に関する話題が扱われる機会は大幅に減少しました。疑似科学やオカルト、軍事問題などをメインに据える傾向も続いたため、科学雑誌としての専門性や評価は次第に低下し、それに伴って販売部数も減少の一途をたどることになります。

1990年11月号では、創刊100号を記念した特別企画として、「環境100のレポート」と題した100ページに及ぶ大規模な環境特集が掲載されました。

その後、再び科学中心の内容へと回帰する試みもなされましたが、販売不振の流れを変えることはできませんでした。1995年4月号からは、書店での取り扱いがなくなり、学研コンパニオンによる家庭への訪問販売ルートのみでの販売に限定されました。そして、1997年3月号をもって惜しまれつつ休刊となりました。最終号では、「聖徳太子と飛鳥京の真実」と「達人たちの自然観」が特集として組まれています。

主な連載

『UTAN』では、科学記事のほか、様々なテーマの連載企画が掲載されました。

科学・教養関連

裏ウータンシリーズ: 最先端科学技術をハイテク犯罪という視点から描くユニークな連載。雑誌が基本的に左開きであるのに対し、このコーナーのみ右開きという特徴的な編集がなされていました。
正狩炎の占いのウラ・オモテ
UTAN実用ホビーシリーズ: 様々なホビーの達人がその知識や楽しみ方を伝授。
唐沢俊一のクスリ・ストリート
内山先生のクイズでわかるエコロジー
ゴリラ教授の能力全開講座
中学数学で理解できる相対性理論地獄の特訓講座: 数学者の吉永良正氏による。

連載漫画

¡DOCTOR!（ドクトール）
島本晴海の地球防衛オーラン
ココナとハッセルホフ
アーバン薬局ものがたり

その他

林葉直子のフニャムニャ時間/帰ってきたフニャムニャ時間
うーたんの大冒険！パズルファンタジー: ニコリ制作のパズル企画。

読者ページ

UTANかわら版
超級覇王UTAN