V型20気筒

V型20気筒エンジンの概要

V型20気筒エンジン、通称V20は、エンジンのシリンダーがV字型に配置された独特なレイアウトを持つレシプロエンジンの一つです。このエンジン形式は特に大型のディーゼルエンジンに使用されることで知られています。本記事では、主にピストン式内燃機関としてのV型20気筒エンジンの特性とその用途について詳しく解説します。

V型20気筒エンジンの特徴

V型20気筒エンジンは、その構造上、20本のシリンダーがV字型に配置されており、一般的なエンジンよりも非常に大きなエンジンサイズを持ちます。このような多気筒のエンジンは通常の自動車には採用されませんが、特定の用途において優れた性能を発揮します。特に、発電や巨大な機械を動かすための動力源として需要が高いです。

使用例と歴史

このエンジンは1960年代にゼネラルモーターズのエレクトロ・モーティブ・ディヴィジョン（EMD）によって製造されたEMD SD45形ディーゼル機関車に採用されました。搭載されたEMD 645系エンジンは1気筒あたりの排気量が立方インチで表され、結果としてエンジン全体の排気量は211リットルに達します。このエンジンは3,600馬力（約2.7メガワット）の出力を誇ります。

EMPはその後、645系エンジンを基に進化させたEMD 710系エンジンを搭載したEMD SD80MAC形機関車も製造しました。EMDは現在もこのエンジンの製造を続けており、特に発電機や海洋用の機器に重宝されています。

船舶と発電所での利用

V型20気筒エンジンは船舶用途でも利用されています。かつてメルセデス・ベンツが製造していた他、バルチラが製造するエンジンは、最大出力13,500馬力（約10メガワット）を誇ります。これにより、大規模な発電所や重工業の施設での需要に応えています。

自動車での採用

自動車産業でも稀にV型20気筒エンジンが使用されることがあります。例えば、大型のダンプトラックであるリーベル社の製品には、90リットルの排気量を持つMTU製「DD 20V4000」エンジンが搭載されています。このトラックは400トンもの土砂を運搬する能力を持ち、その出力は3,650馬力（約2,722 kW）に達します。これは、特に過酷な作業状況においてその能力を最大限に発揮するために設計されています。

まとめ

V型20気筒エンジンは、その特異な構造から一般的な自動車には使われていないものの、大型機械や発電機、船舶において重要な役割を果たしています。日常のエンジンでは味わえない力強い出力と高い排気量は、特定のニーズに応えるための理想的な選択肢となっています。

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