VBMR グリフォン

グリフォン多用途装甲車 (VBMR)

グリフォン多用途装甲車（Véhicule Blindé Multirôle、VBMR）は、フランス陸軍が運用する装輪装甲車です。スコーピオン計画の一環として、老朽化したVAB装甲車の後継として開発されました。高い汎用性とネットワーク能力を特徴とし、フランス陸軍の機械化歩兵部隊の中核を担っています。

開発の経緯

フランス陸軍は、2000年代初頭からVAB装甲車の後継となる新型装甲車の開発を検討していました。2013年の防衛白書では、2020年までに2,080両のVBMRを調達する目標が掲げられました。2014年には、ネクスター、タレス、Arquusの3社に開発が委託され、2019年に最初の車両が納入されました。

特徴

グリフォンは6x6の車輪配置を持ち、運転手を含めて10名の兵員を輸送できます。モジュール設計を採用しており、兵員輸送車、指揮車、偵察車、衛生車など、様々な派生型が存在します。また、ストラスブールの企業Quiri、アルジャントゥイユのElnoによるElipsインターコムシステム、リヨンのMetravibによるピラーV音響銃撃検出システムおよびサスペンションを含む70%の装備を共有している。

ヴェトロニクス

グリフォンには、高度なヴェトロニクス（車両搭載電子機器）が搭載されています。これにより、味方部隊との情報共有、目標の自動検出、敵の攻撃に対する防御などが可能になります。例えば、グリフォンが検知した標的の情報を、EBRC ジャグアの乗員がリアルタイムで受信し、攻撃することができます。また、グリフォンの乗員は、ヴェトロニクスネットワークを通じて、味方車両の位置や状況を把握することができます。

SCORPION計画

グリフォンの開発は、フランス陸軍の装甲部隊近代化計画である「SCORPION計画」の一環として行われています。SCORPION計画では、グリフォンの他に、ルクレール戦車の近代化、EBRC ジャグアの開発などが進められています。これらの装備を組み合わせることで、フランス陸軍はより高い戦闘能力を獲得することを目指しています。

バリエーション

グリフォンには、様々なバリエーションが存在します。

兵員輸送車 (VTT)：最も基本的なタイプで、兵員の輸送に使用されます。FELINシステムを搭載したタイプや、狙撃兵分隊タイプ、MMP対戦車ミサイルを搭載したタイプがあります。
指揮車 (EPC)：指揮官が使用する車両で、通信システムや情報処理装置が搭載されています。着弾観測車両（VOA）と呼ばれることもあります。
衛生車 (SAN)：負傷者の治療に使用される車両です。VAB装甲車に比べて、防御力や居住性が向上しています。
工兵車：地雷除去や障害物処理に使用される車両です。
NBC偵察車：核、生物、化学兵器による汚染状況を偵察する車両です。
近接支援用迫撃砲搭載型 (MEPAC)：車室後部に120mm迫撃砲を搭載した車両です。

VBMR-L サーバル

VBMRの軽量版として、4x4の「サーバル」が開発されています。サーバルは、グリフォンよりも小型軽量で、より高い機動性を有しています。偵察、連絡、警備などの任務に使用されることが想定されています。

運用

グリフォンは、フランス陸軍の他に、ベルギー陸軍でも採用されています。ベルギー陸軍は、382両のグリフォンと60両のジャグアを導入する予定です。

今後の展望

グリフォンは、フランス陸軍の機械化歩兵部隊の中核として、今後数十年にわたって運用される予定です。また、輸出市場でも高い競争力を有しており、更なる採用国の増加が期待されます。

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