VCC-1 カミリーノ

VCC-1 カミリーノの概要

VCC-1 カミリーノ（イタリア語: VCC-1 Camillino）は、1970年代に開発された装軌式装甲兵員輸送車です。この車両はアメリカのM113装甲兵員輸送車を基に設計され、イタリアのオート・メラーラ社によって完成されました。VCC-1はイタリア陸軍で制式採用されており、さらにパキスタンやサウジアラビア、ウクライナでも使用されています。

開発の背景

イタリア陸軍は既存のM113の運用中に一部の不満を抱えていました。特に、搭載されているM2 12.7mm重機関銃の射手が防護されていない点や、車内から兵士が射撃できない構造に課題があるとされていました。これらの問題を解決するために、新たな車両の開発が進められることとなります。最初の設計はアメリカのFMCコーポレーションによって行われ、その後オート・メラーラ社が引き継ぎ、最終的にイタリア陸軍向けに改善されたモデルが完成しました。

設計特徴

VCC-1の基本的なレイアウトはM113に類似しており、前部はほぼ同じですが、各所に改良が施されています。エンジンは前部の右側に配置され、左側には操縦手席が、操縦手席の後ろには車長席が設けられています。兵員室は後部にあり、内側には7名が搭乗可能です。兵員室には視察窓付きのガンポートが各側面にそれぞれ2か所、後部に1か所設けられています。

VCC-1は215馬力のディーゼルエンジンを搭載し、最高速度は時速64.4キロメートル、航続距離は550キロメートルです。また、60％の登坂能力や0.61メートルの越堤能力を持ち、水陸両用の能力も備えています。水中ではトリム・ベーンを使用して、キャタピラにより時速5キロメートルで移動可能です。

武装面では、主にM2 12.7mm重機関銃が操縦手席の側にあるキューポラに搭載され、防弾板で守られています。さらに、上部には7.62mm機関銃を装備するオプションもあります。装甲はアルミニウム合金製で、前面と側面には防弾鋼板の増加装甲が施されており、1993年には約50両がソマリアに派遣された際には、さらなる増加装甲が取り付けられました。

派生型の紹介

VCC-1には数つの派生型があります。中でも、VCC-1 Mk2は遠隔操作式の12.7mm重機関銃を搭載したモデルですが、イタリア軍では採用されていません。また、VCC-1 Mk3は20mm機関砲を装備した試作型です。

VCC-1 ITOWは戦車駆逐車型で、アメリカのM901 ITV対戦車ミサイルシステムを搭載しています。サウジアラビアに輸出されて運用されています。さらに、VCC-2は既存のM113を改修し、増加装甲を追加した車両で、外観が異なります。

運用国

VCC-1はイタリア陸軍によって制式採用され、1982年から導入が始まりました。導入数に関しては資料によって異なり、600両から1,350両までの幅があります。また、ソマリアでは実戦を経験し、現在ではダルド歩兵戦闘車に置き換えられ退役しました。

パキスタンでは、イタリア軍が退役したVCC-1を再使用しており、2024年時点で600両を運用しています。サウジアラビアでは、1983年から1984年にかけて戦車駆逐車型を200両から224両導入し、現在も運用を続けています。ウクライナでは、国家警察の特殊部隊がVCC-2を使用しているという情報もあります。これは、VCC-1の影響が各国に広がっていることを示しています。

もう一度検索