VF-31 ジークフリード

VF-31 ジークフリードは、2016年放送のTVアニメ『マクロスΔ』とその劇場版に登場する可変戦闘機です。通称「バルキリー」として知られるこの機体は、ファイター（航空機）、バトロイド（人型ロボット）、ガウォーク（中間形態）の3形態に変形します。

物語では、主人公が所属する「ケイオス」のΔ小隊に配備され、ヒロインが所属する戦術音楽ユニット「ワルキューレ」の護衛とサポートを担当します。「ジークフリード」という愛称は、叙事詩『ニーベルンゲンの歌』の主人公に由来します。Δ小隊以外の部隊が運用する一般機は「カイロス」と呼ばれます。

メカニックデザインは、総監督の河森正治氏が担当しました。

開発経緯

VF-31は、PS3用ソフト『マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』に登場する「YF-30 クロノス」の制式採用型という設定です。2015年9月25日に『マクロスΔ』の正式発表とともにキービジュアルとして公開されました。

河森氏は、『マクロスΔ』におけるケイオスと敵対するウィンダミア王国の機体を両方新規にデザインする時間がないと判断し、ウィンダミア側の「Sv-262 ドラケンIII」のみを新規デザインとし、ケイオス側のVF-31にはYF-30の変形機構を流用することで時間短縮を図りました。そのため、他のVFとは異なり、変形機構検証用のレゴブロックモデルは製作されず、既売品のYF-30のDX超合金をベースに検証が行われました。設計上では、YF-30のテーマである「玩具製品を変形させやすく、遊びやすくする」という路線が継承されています。

当初はYF-30と同じクロースカップルドデルタ翼を採用する予定でしたが、ダブルデルタ翼のSv-262とシルエットが似てしまうことや、主役メカとしてのキャラクター性を高めるため、Δ小隊機には前進翼が採用されました。前進翼の途中に垂直尾翼が内側に傾けて配置されているのが特徴です。一般機（カイロス）は当初の予定通りクロースカップルドデルタ翼機となり、劇中でも端役として登場します。

翼以外にも、「機首の折りたたみ方」「手や主脚の収納方法」「腕部機銃（ミニガンポッド）」「カナードの大型化」「足先の分割方法」などがYF-30から変更されています。カラーリングに関しては、従来作品の主人公機は赤をパーソナルカラーにすることが多かったのですが、本作では初めて青が採用されました。最終的にYF-30から大きく変更されたため、「VF-30」ではなく「VF-31」となりました。

劇場版2作目の『絶対LIVE!!!!!!』では、ジークフリードが破壊されるため、カイロスにジークフリードのパーツを組み込んだ機体「カイロスプラス」が登場します。カイロスはジークフリード以上に人気が高く、それがカイロスを主役機にするきっかけにもなりました。カイロスプラスのデザインの特徴としては、変形機構のために細くなってしまう上腕部分を隠すためにカバーパーツを追加することで力強さを強調し、カラーリングもジークフリードより派手さを抑えたミリタリー調のグレーを基本としています。

機体解説

各宇宙移民船団や植民惑星の独立・地方分権化による支配力低下を危惧した新統合政府が、各方面が独自配備している新型VFに対抗するために開発した機体です。民間軍事プロバイダー「S.M.S」のウロボロス支社が開発した高性能試作機「YF-30 クロノス」をベースに、「VF-31A・B カイロス」が完成しました。

後部中央にはYF-30から継承された「マルチパーパスコンテナユニット」を備え、換装することで様々な任務に対応できます。YF-30自体が「YF-24 エボリューション」から派生した機体であるため、「ISC（慣性蓄積コンバーター）」や「EX-ギア・システム」などの耐G装置も標準装備されています。ただし、YF-30に搭載されていた高純度の「フォールドクォーツ」は希少物質であるため、より小型のクォーツや、人造クォーツである「フォールドカーボン」で代用しています。このため、基本性能はYF-30から低下していますが、「VF-25 メサイア」と同等以上の水準は維持されています。

星間複合企業体「ケイオス」の軍事部門にも複数の機体が供給され、各部隊で評価試験を兼ねた実戦運用が行われています。ラグナ支部所属のΔ小隊には、対ヴァール・シンドローム用戦術音楽ユニット「ワルキューレ」の護衛任務に特化した改修機が配備され、「ジークフリード」の愛称で呼ばれています。

武装・オプション

VF-31は、様々な武装とオプションを装備できます。

マウラーROV-127E 12.7㎜対空ビーム機銃
ラミントンLM-25s / LM-27s レールマシンガン（ミニガンポッド）
ガーバーオーテックAK/VF-M11 アサルトナイフ
ハワードLU-18A ビームガンポッド
ビフォーズCIMM-3B マイクロミサイル
MDP-001W シグナス（マルチドローンプレート）
マルチパーパスコンテナユニット
スーパーパック
フォールドプロジェクションユニット
フォールドブースター
LD-262S リル・ドラケン
アーマードパック
ゴースト / スーパーゴースト

バリエーション

VF-31には、様々なバリエーションが存在します。

VF-31J：ハヤテ・インメルマンの搭乗機
VF-31C：ミラージュ・ファリーナ・ジーナスの搭乗機
VF-31E：チャック・マスタングの搭乗機
VF-31F：メッサー・イーレフェルトの搭乗機
VF-31S：アラド・メルダースの搭乗機
カイロスプラス：劇場版に登場する機体
VF-31A：一般機

商品化

VF-31は、バンダイやハセガワ、トミーテック、アオシマなどからプラモデルや完成品モデルが発売されています。

もう一度検索