VERITAS

VERITASの歴史

VERITAS（ベリタス）は、アメリカの情報管理を中心としたIT企業Veritas Technologies（ベリタス・テクノロジーズ）として知られています。その源流は、UNIX系ミドルウェアの開発・販売を手がけていたVERITAS Softwareに遡ります。この会社は、後にフェイスブックのコンサルタントとなるジェフ・ロスチャイルドらが中心となって設立されました。

2004年、VERITASはシマンテックに買収合併されましたが、2015年にシマンテックの情報管理部門が分割され、VERITASの名前が復活しました。この変遷の中で、VERITASはフォールトトレラントシステムからストレージ管理ソフトウェアへと事業を転換させ、再び独立した企業として歩み始めています。

トレラント・システムズ時代

VERITASの原点となるのは、1983年に設立されたTolerant Systems（トレラント・システムズ）です。Eli AlonとDale Shipelyという二人の元インテル従業員によって創業されたこの会社は、フォールトトレラントシステム型のコンピュータを製造していました。そのシステムは、小さな機能ブロックを積み重ねて構築されるという特徴を持っていました。

トレラント社は、当初ナショナル・セミコンダクタのNS32016マイクロプロセッサを使用していましたが、より高性能なNS32032が登場すると、そちらに移行しました。各機能ブロックには、OS用プロセッサとI/O用プロセッサが搭載され、それぞれで異なるOSが動作していました。OS用プロセッサではUNIX系OSのTXが、I/O用プロセッサでは独自のリアルタイムカーネルが動作していました。

各機能ブロックは、イーサネット接続で相互に接続され、フォールトトレラントシステムを構築しました。また、独自のI/Oシステムも開発し、最大16台の周辺機器を接続できました。このI/Oシステムは、3MB/sという当時としては高速なインターフェースを提供していました。さらに、ディスクコントローラ、通信インターフェイスプロセッサ(CIP)、磁気テープコントローラなども独自に開発しました。

通信インターフェイスプロセッサ(CIP)は、NS32016プロセッサをベースにしており、12または16個のシリアルポートを制御しました。CIP上でソフトウェアを実行することで、接続された端末群をインテリジェントに利用できました。また、ソフトウェアはチェックポインティング技術を使用しており、ハードウェア故障時に別のプロセッサでアプリケーションをロールバックして実行することが可能でした。

トレラント社は、今日のRAIDシステムの先駆けとなるジャーナルファイルシステムとディスク内容の多重化システムも開発していました。

旧VERITAS時代

1989年、トレラント・システムズはハードウェア事業から撤退し、社名をVERITAS Softwareに変更しました。この頃から、既に開発済みのジャーナルファイルシステムをベースとした製品を、NTおよびUNIXシステム向けに開発・販売するソフトウェア企業へと転身しました。

1980年代終盤には、商用UNIX向けの論理ボリュームマネージャ及びジャーナルファイルシステム製品をいち早く提供するため、AT&T UNIX Systems Laboratoriesの協力を得て、自社のハイアベイラビリティ・オペレーティングシステムからUNIX System V Release 4向けのコードを抽出し、製品化しました。これがVxFS（VERITAS File System）です。

このVxFSは、各商用UNIXベンダーから注目を集め、1990年にはIBMがAIX V3に、1992年には日立がHI-UXに、1993年にはHPがHP-UXに、NECがUX/4800に、1994年にはOracleがそれぞれの製品と商用UNIXでのサポート契約を結びました。VxFSは多くのUNIXシステムに実装され、その信頼性と可用性を向上させました。

ジャーナルファイルシステムとボリュームマネージャ機能(VxVM)の登場は、UNIXの信頼性と可用性を飛躍的に高め、Windows系OSと比較してUNIXが遥かに信頼性が高いという評価を確立する上で大きな役割を果たしました。当時、Windows 3.1にはボリュームマネージャが存在せず、ジャーナルファイルシステムもWindows NT以外では利用できなかったため、UNIXが優位な立場を確立する上で重要な要素となりました。

また、SUNサーバで高可用性クラスターを構成する際には、Sun製のSunClusterではなく、VERITAS社のClusterServerが標準的に使用されるなど、UNIXでビジネスシステムを構築する際には、必ずVERITASのパッケージが目に触れる存在でした。

VERITASのソフトウェア製品は、主にストレージ管理の分野に特化しており、VxFS、小規模バックアップソフトウェアBackup Exec、企業レベルの大規模バックアップソフトウェアNetBackupなどが代表的です。1997年にはOpenVision Technologiesを買収、1999年にはシーゲイト・テクノロジーのネットワーク/ストレージ管理部門を買収し、VERITASは世界でも有数のソフトウェア企業へと成長しました。

2004年、VERITASとシマンテックは135億ドルと見積もられる合併計画を発表しました。これはソフトウェア企業同士の合併としては史上最大規模でした。2005年7月2日、両社の合併が完了し、社名はシマンテックとなりました。

新生VERITAS時代

2014年10月、シマンテックは情報管理部門とセキュリティ部門の二つに会社を分割することを発表しました。2015年1月、シマンテックは新たに設立される情報管理部門の会社名をVeritas Technologiesと発表しました。

2015年8月、シマンテックはVeritas Technologiesをカーライル・グループ主導の投資家に80億ドルで売却し、2016年1月1日までに売却手続きを完了させました。

脚注

外部リンク
Official website of VERITAS
Symantec Corp

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