W19 (核砲弾)

W19核砲弾の概要

W19は、アメリカ合衆国が開発した核砲弾で、特に陸軍のM65 280mmカノン砲向けに設計されました。この砲弾は1955年7月から生産が開始され、約8年間の運用期間を経て1963年に退役しました。W19は、先に開発されたW9核砲弾の改良型として位置づけられています。

仕様と設計

W19は核分裂弾頭を搭載しており、その核物質には高濃縮ウランが使用されています。起爆方式としては、ガンバレル型が採用されています。このモデルでは、W9と同じく80発が製造され、1957年までにはW9を順次退役させる形で更新が進められました。

その外形は、直径が11インチ（約28センチメートル）、長さが54インチ（約137センチメートル）、重量は600ポンド（約272キログラム）です。W19の核出力は15-20キロトンとされ、非常に強力な威力を持っています。さらに、日本語で「信管」と呼ばれる時間遅延装置を使用しており、空中爆発を実現する設計となっています。

W19の運用と退役

W19が実際に運用された期間は、冷戦時代にあたります。この時期、アメリカ合衆国は核兵器を戦略的に使用するための多様な手段を模索していました。M65 280mmカノン砲用に開発されたこの核砲弾は、地上部隊への火力支援の一環として意図されていました。

しかし、やがて技術の進歩と戦術の変化に伴い、より小型の核砲弾の開発が進みました。特に203mm砲や155mm砲向けの小型核砲弾であるW33などが成功裏に開発されると、M65の退役も近づいてきました。このため、W19も1963年に運用を終了し、正式に退役することになりました。

まとめ

W19核砲弾は、アメリカ陸軍の核兵器プログラムにおいて重要な役割を果たした兵器の一つであり、技術的な革新の象徴とも言えます。冷戦時代の戦略的な文脈の中で、その存在や技術が評価されつつも、新しい選択肢が登場することで退役となったことが、時代の流れを物語っています。

アメリカにおける核兵器開発の進展や、それが持つ影響は、今なお様々な議論を呼ぶテーマであり、W19のような兵器はその歴史的背景を理解する上で重要な事例となっています。

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