W23 (核砲弾)

W23：アメリカ海軍の核砲弾

W23は、アメリカ合衆国が開発した核砲弾であり、主に海軍のアイオワ級戦艦に搭載されることを目的としています。この兵器は、米陸軍向けに開発されたW19 280mm核砲弾の設計を応用し、アイオワ級戦艦の特定の艦砲システムに適した形で仕上げられました。これにより、海軍向けの核兵器の中でも唯一の存在として特異な地位を占めることとなりました。

W23は、1952年に開発が始まり、1956年10月から生産がスタートしました。最終的に製造されることになったのは50発です。配備は1962年10月まで行われており、その後多くが退役しました。

この核砲弾は、ガンバレル型の核分裂弾頭を採用しており、高濃縮ウラン（HEU）が使用されています。サイズ的には直径16インチ（約40.6cm）、長さ64インチ（約162.6cm）、重さは1,900ポンド（約861kg）という大型の砲弾です。弾頭から発生する核出力は、目安として15～20キロトン程度です。

W23の重要な特徴は、時限式の信管を備えており、発射後に空中で爆発することができる点です。これは、陸軍や空軍の核兵器とは異なり、艦砲による射撃を考慮した設計となっています。しかしながら、この兵器に関しては砲からの実弾発射試験は行われておらず、実戦での使用は確認されていません。

最新技術を駆使して開発されたW23は、当時の軍事戦略において重要な役割を果たすことが期待されました。しかし、核兵器に関連するリスクや国際情勢の変化に伴い、その配備時期は限定的であることが意識されていました。以後、W23の役割は新たな兵器開発とともに次第に減少し、冷戦の終焉に向けての核兵器削減の流れの中で、その存在は影を潜めていくことになります。

W23は、特異なデザインと機能を持つ兵器として、他の核兵器とは異なる立ち位置を持ちながらも、最終的には使用されることなく幕を下ろした核砲弾です。その生涯は、冷戦期の米国の核戦略や軍事技術の進化を象徴する一つの例と言えます。

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