W54 (核弾頭)

W54核弾頭についての詳細

W54は、アメリカ合衆国が開発した超小型の核弾頭で、約23kgの重さを持っています。1961年から1962年にかけてロスアラモス国立研究所で開発され、総計400発が生産されました。この弾頭は、1971年頃まで軍に配備されていました。

小型核兵器の開発背景

W54は特に戦術目的での使用を想定して設計されており、その小型化と可搬性の高さが大きな特徴です。従来の核兵器では、爆発威力が大きく、発射部隊や周囲に与える影響が懸念されていましたが、W54はその爆発威力を低い範囲に抑えることを目指しました。1957年頃より行われた低核出力の核実験では、意図した威力がうまく達成できず、100kt以上の出力を記録することもありました。しかし、1961年までに複数の実験を経て、核爆発を有効に抑える技術の確立に成功しました。

W54自体は1962年に実施された核実験の結果、22tと18tの核出力を記録しました。この核弾頭は、プルトニウムを用いたインプロージョン方式で作られ、サイズは直径27cm、長さ40cmです。出力は最低で10tから最高で250tまでの範囲に対応しています。後に開発されたW72核弾頭は、W54を基に再設計されたものです。

沖縄における配備

W54に関する新たな情報は、2019年にアメリカのジャーナリストアニー・ジェイコブセンによって出版された著書『奇襲し殺し消える』により明らかになりました。この本によると、1960年代には沖縄県の宜野座村に位置するキャンプ・ハーディーが、アメリカ陸軍特殊部隊グリーン・ライト・チームによるW54を使用するための極秘訓練拠点であったことが示されています。

また、米国国防総省が1999年に公開した情報によれば、デイビークロケットという兵器は1964年から1968年にかけて沖縄に配備されており、射程はわずか2マイルと短く、発射した部隊や周辺地域にも被爆の危険が避けられませんでした。

W54のバリエーション

W54の派生型として、いくつかのバリエーションが存在します。

• - Mk.54: デイビー・クロケット用の無反動砲弾で、10tまたは20tの核出力を持ち、アメリカ陸軍で採用されていました。
• - B54: 特殊核爆破資材（SADM）用で、アメリカ海軍や海兵隊の特殊部隊向けに設計されており、人力で運搬可能で爆破地点に設置することができます。出力は10tから1ktの範囲です。
• - W54: AIM-26A ファルコン核空対空ミサイル用に用いられ、核出力は250t、触発および近接信管を備えています。

こうしたバリエーションを通じて、W54はその用途に応じた柔軟な運用が可能であり、アメリカの核戦略において重要な役割を果たしてきました。

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