W58 (核弾頭)

W58核弾頭の概要

アメリカ合衆国が開発したW58は、特に海軍が運用するポラリスA-3潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）向けに設計された核弾頭です。この弾頭の開発は1960年代初頭であり、核戦力の強化を目指した冷戦期の重要な取り組みのひとつでした。

基本仕様

W58の大きさは直径が約15.6インチ（約39.6センチメートル）、長さは40.3インチ（約102.4センチメートル）、重さは257ポンド（約116キログラム）です。この熱核弾頭は、約200キロトンの核出力を持つことから、その破壊力は非常に大きいとされています。このような高い威力を持ちながら、W58は複数の弾頭を同時に運用できるMRV（Multiple Reentry Vehicle）技術を使用しています。

生産と配備

W58は、1964年3月から1967年6月にかけて合計1,400発が生産されました。この弾頭は、ポラリスA-3ミサイルに備えられたMk.2再突入体に搭載される形で運用されました。具体的には、1基のポラリスA-3ミサイルに対して、最大で3基のW58弾頭が搭載可能でした。このため、戦略的な弾道ミサイルの効率的な運用が実現されたのです。

爆発方式と退役

W58弾頭に搭載されている信管は、空中爆発および触発によるものがあり、さまざまな戦術状況に対応できるよう設計されています。これにより、敵の防空網を突破するために、持ちうる最大の効果を発揮することが可能でした。しかし、W58は、ポラリス・ミサイルシステムの退役に伴い、1982年に最終的に退役しました。

結論

W58は、アメリカの冷戦期における核戦略の重要な部分を占めた核弾頭です。その技術力と生産数は、核兵器の運用において大きな役割を果たしました。冷戦が進行する中で、W58のような弾頭は、国際的な安定に寄与する一方で、同時に緊張を高める要因ともなったことは否定できません。核戦力の歴史を考える上で、W58は欠かせない存在であると言えるでしょう。

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