W70 (核弾頭)

W70核弾頭の概要

W70はアメリカ合衆国が開発した核弾頭で、主に短距離弾道ミサイルであるMGM-52 ランスに使用されることを目的とした兵器です。1970年代初頭、ローレンス・リバモア国立研究所においてその開発が始まりました。1973年に開発が完了し、生産が開始されましたが、最初のバージョンは1977年までに約900発が製造されています。

開発と仕様

W70は熱核弾頭として設計されており、その核出力は1キロトンから100キロトンの範囲で可変です。この弾頭は、主に触発信管と空中爆発機能を備えています。弾頭のサイズは、直径が18インチ（約46cm）、長さが41インチ（約104cm）、そして全体の重量は約270ポンド（約122.5kg）というものでした。

1977年には、W70の改良型であるW70 Mod3が開発されました。この改良型は、戦術使用を重視した放射線強化型の中性子弾頭であり、核出力は1キロトンとされています。しかし、W70 Mod3は政治的な理由から製造が遅れ、最終的には1981年から生産が開始されました。このモデルは1983年に340発が生産されました。

冷戦とその後

W70核弾頭は冷戦時代の象徴的な兵器と考えられており、アメリカの地上発射式戦術核兵器として重要な役割を担っていました。しかし、冷戦が終結した1992年には、アメリカ合衆国が地上発射式の戦術核兵器を廃止する方針を打ち出したため、W70の配備は終了しました。この決定は、核兵器の適正管理や国際的な安全保障に対する新しい視点に基づくものであり、冷戦後の新たな軍事戦略に応じたものでした。

結論

W70はその設計から運用に至るまで、冷戦時代の核戦略において重要な位置を占めていました。その開発から廃止までの歴史は、時代の変化を反映したものであり、今後の核兵器に関する議論や政策にも影響を与える存在であると言えます。

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