W88 (核弾頭)

W88核弾頭について

W88は、アメリカ合衆国が開発した核弾頭であり、UGM-133A トライデントII潜水艦発射弾道ミサイルに向けて設計されています。この武器は1980年代に開発が進められ、2009年までにアメリカの核兵器の中で最新のデザインであるとされてきました。現在でもこの核弾頭はアメリカの軍備に配備されています。

概要

W88は、トライデントミサイル用のMIRV弾頭として開発され、ロスアラモス国立研究所がその開発を担当しました。W88は熱核弾頭で、核出力は最大475キロトンに達します。また、その寸法は全長1.75メートル、直径0.55メートルで、重量は360キログラム未満と推定されています。

1999年には、核兵器に関するスパイスキャンダルの影響で、W88の設計に関する情報の一部が公開されました。この核弾頭は非常に精緻な設計を持っていますが、基本的にはアメリカが1958年までに蓄積した技術を組み合わせたものであるといいます。

デザインの特徴

W88の内部構造にはいくつかの独特な特長があります。これにより、比較的小型でありながらも高い核出力を実現しています。以下にその主な特徴を挙げます。

1. 第2ステージのプッシャー: 第2ステージの外殻には「プッシャー」と呼ばれる部分があり、これは第1ステージからの断熱材や中性子反射体、核分裂ブースターの役割を一手に担っています。W88では、この材質が通常のウラン238ではなくウラン235に置き換えられているため、より効率的な核分裂反応が期待でき、核出力を向上させることに寄与しています。ただし、この設計上の問題として、大量のウラン235が必要になります。

2. 再突入体の配置: 第2ステージは再突入体の尾部側に配置されています。これにより、より大きな第2ステージを有効に活用できる設計となっています。一般的には第2ステージの配置は、空力的安定性を考慮して先端側に置かれることが多いのですが、W88は尾部側にスペースを確保しています。

3. 第1ステージの工夫: 对応の第1ステージは、スペースの制約から通常よりも軽量で小型に設計されており、楕円形状の爆縮構造が用いられています。また、X線遮蔽ケーシングもこの形状に合わせて設計されています。

4. 使用される爆薬: W88では、通常の軍用爆薬が使用されており、安全性高い低感度の特殊爆薬は使われていません。爆縮用の爆薬として一般的な選択がなされています。

5. バラストの存在: 再突入体の重心を正しく保つために、先端部にはバラストが設けられていると考えられています。

6. レイヤー構造: 第2ステージは、核分裂と核融合の層構造を持ち、アラームクロックやスロイカといった構造が応用されています。これにより、さらに効率的な核反応が達成されます。

以上のように、W88核弾頭はその設計と技術において非常に特異な存在であり、アメリカの核抑止力の基盤を支える重要な役割を果たしています。

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