WANDS (アルバム)

WANDSの軌跡を刻んだデビュー作『WANDS』

1992年、日本の音楽シーンに彗星のごとく現れたロックバンドWANDS。彼らが発表した記念すべき1stアルバム（ミニアルバム）『WANDS』は、バンドの個性を鮮やかに描き出した作品として高く評価されています。公式サイトでは1stアルバムと明記されている通り、WANDSの歴史において極めて重要な位置を占める一枚と言えるでしょう。

若き才能が織りなすサウンド

キーボード担当の大島康祐（現・大島こうすけ）在籍時の作品である『WANDS』は、デビューシングル「寂しさは秋の色」を除く全曲がオリジナル楽曲で構成されています。メンバーそれぞれの音楽的バックグラウンドが融合し、ファンクとハードロックの要素を絶妙に組み合わせた、聴き応えのあるサウンドが特徴です。

当初は『WANDS1』というタイトルでリリースされる予定でしたが、最終的に『WANDS』に決定しました。この変更の経緯は公式には明かされていませんが、シンプルで覚えやすく、バンド名と統一感を保つという意図があったのかもしれません。

初のトップ10入りを果たした快挙

発売から約8ヶ月後の1993年2月15日付オリコンウィークリーチャートで、見事10位にランクイン。WANDSにとって初のトップ10入りという快挙を達成しました。勢いは留まるところを知らず、翌週2月22日付のチャートでも10位をキープ。この記録は、彼らの才能と人気の高さを証明するものでした。

音楽評論家の視点

音楽情報誌『CDジャーナル』は、『WANDS』について次のように評しています。「若手ながら、メンバーそれぞれのキャリアは長く、その経験が楽曲に深みを与えている。ファンクとハードロックを融合させたサウンドは、非常に聴きやすく、完成度が高い。売れ線志向と批判する声もあるが、彼らの等身大の実力を評価すべきだ」と。この批評は、バンドの音楽性と潜在能力を的確に捉えていると言えるでしょう。

各楽曲の魅力に迫る

アルバムには全6曲が収録されています。デビューシングル「寂しさは秋の色」を始め、いずれもWANDSの個性と魅力が詰まった楽曲です。

ふりむいて抱きしめて: 2ndシングルとしてリリースされた、WANDSを代表する名曲の一つ。
Cloudy Sky: メロディーラインと歌詞の美しさが際立つ、聴き心地の良い楽曲。
寂しさは秋の色: デビューシングル。切ないメロディーと上杉昇の透き通る歌声が印象的。後に栗林誠一郎がセルフカバーしています。
もう 自分しか愛せない: 力強いサウンドと、心を揺さぶる歌詞が魅力。
Good Sensation: 柴崎浩のギターソロから始まる、疾走感あふれるロックナンバー。第2期WANDSのライブでも定番のレパートリーでした。サビは移動中の車内で作曲されたというエピソードがあります。また、第1期メンバー全員の名前がクレジットされた最初の楽曲でもあります。
この夢だけを…: 静謐で美しいメロディーが心を癒やすバラード。

参加ミュージシャン

WANDS: Vocal: 上杉昇、Guitar: 柴崎浩、Keyboards: 大島康祐
ゲストミュージシャン: 岩切玲子

まとめ

『WANDS』は、WANDSの才能と可能性を示した、記念碑的なデビューアルバム（ミニアルバム）です。彼らの音楽的ルーツと将来性を垣間見ることができる、まさに原点と言える作品と言えるでしょう。このアルバムからWANDSの音楽がどのように進化していくのか、その後の彼らの活動と合わせて注目してみるのも良いでしょう。

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