WARASHI

WARASHI（ワラシ）

『WARASHI』は、日本の漫画家寺沢大介による作品で、妖怪との戦いや高校生活をテーマにした少年少女の冒険物語です。この作品は、1990年から1991年まで『週刊少年マガジン』（講談社）で連載され、全37話が収録された単行本は現在絶版となっていますが、電子書籍での閲覧が可能です。

概要

『WARASHI』は、寺沢大介の代表作の一つであり、料理漫画『ミスター味っ子』の後に続く作品として発表されました。この漫画は、妖怪と戦う少年少女の姿を描く退魔ホラーで、作者の初期作品で見られるファンタジー要素に後半からの高校生活のエッセンスを加え、独自の味わいを醸し出しています。物語の中では、妖怪のグロテスクな描写や、いくつかの裸体描写（サービスカット）も含まれており、同時に心理的な怖さと感動を両立させています。

物語は当初、1話完結型の勧善懲悪で進む中、主人公・ワラシが因縁の相手天邪鬼との人間的かつシリアスな対決に焦点が移ります。連載の終盤では、天邪鬼との戦いから3年後の再会を望む高校生あん子との物語にシフトし、彼女とワラシの恋愛模様が描かれます。こうした流れから、作品は前半はバトル漫画、後半はホラー漫画という二面性を持つことになります。

この漫画の絵柄は、初期には児童漫画のようにデフォルメされたタッチで描かれていたが、あん子の成長に伴い、より少年漫画的なリアルなスタイルに変わっていきます。このように、作品は寺沢の画風の変化を示す過渡的な作品とも言えます。寺沢は、作品が成功しなかったことを振り返り、「成功作とは言えない」と残した言葉もあり、打ち切りの可能性を感じさせます。

あらすじ

物語は、14歳のあん子が友人に頼まれ、十年ぶりに田舎を訪れたところから始まります。あん子は祖母から「ワラシ様」の伝説を聞かされますが、最初は信じられません。しかし、龍神堂にある龍石を見に行く際、実際に妖怪に襲われ、ワラシによって救われることから、彼女は妖怪の存在を信じるようになります。ワラシと協力し、妖怪関連の事件を解決していくうちに、あん子は妖怪との関わりが深まっていきます。

物語が進むにつれて、ワラシと天邪鬼との壮絶な戦いが繰り広げられます。ワラシは天邪鬼との戦いの末、一度死亡しますが、あん子の愛情によって再び蘇ります。その後、彼は無間地獄から戻り、新たな形であん子と共に妖怪を倒す旅に出ます。

3年後、あん子は高校生となり、友人たちとの絆を深めながら新たな妖怪事件に立ち向かいます。彼女はワラシとの再会を果たし、さらなる冒険が始まるのです。

登場人物

ワラシ

この物語の主人公であり、妖怪の若きリーダー。シニカルでスケベな性格を持ちながら、仲間を守るために戦います。彼の成長が物語の大きなテーマとなります。

小萩野あん子

ヒロインで好奇心旺盛な女の子。幼少期にワラシと出会っていたが、記憶はありません。ワラシとの再会を機に、妖怪事件に首を突っ込むことになります。

美童和彦

あん子の同級生でボーイフレンド。彼はお調子者でありつつも、いざとなると勇敢な一面を見せます。

テレビドラマ化

『B級ホラー WARASHI!』というタイトルで、1991年から1992年にかけて放送されました。ドラマはオリジナルストーリーを展開し、原作のエピソードも取り入れています。

このように、『WARASHI』は妖怪との戦いと恋愛をテーマにした独特のストーリーが魅力です。ファンタジーとリアリズムが融合した作品として、多くのファンに支持され続けています。

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