WEEDしらおい

北海道白老郡白老町に本拠地を置く社会人野球のクラブチームです。日本野球連盟に加盟しており、地域の野球文化を次世代に伝える役割を担っています。

白老町の野球史とチームの誕生

かつて、白老町には『大昭和北海道』という有力な社会人野球チームが存在しました。このチームは、1974年の都市対抗野球大会で北海道勢として初めて優勝を飾るなど、長年にわたり北海道の社会人野球界を牽引する輝かしい歴史を持っていました。

しかし、時代の流れと共に経営環境が変化し、スポーツ事業の見直しが進んだ結果、1993年に大昭和北海道は企業チームとしての活動を終了します。

チームの活動停止後、白老町では野球への情熱を絶やさないために、地元の市民や行政が中心となり、新たなクラブチーム『ヴィガしらおい』が1994年に結成されました。ヴィガしらおいは、地域に根差した活動を目指し、北海道地区の大会では実績を積み上げました。しかし、残念ながら全国大会への出場は、1994年の日本選手権と1995年の都市対抗野球のわずか2回にとどまりました。

さらに、1997年には母体であった大昭和製紙からの選手派遣が打ち切られることが決定し、これを受けてヴィガしらおいは解散という苦渋の選択を強いられます。大昭和製紙北海道から数えて35年、そしてヴィガしらおいとしての4年という歴史は、ここで一旦途切れることになりました。また、親会社であった大昭和製紙自体も、2001年に日本製紙との経営統合を経て、新たな体制へと移行しています。

こうした背景の中、白老町に深く根付いた野球文化を未来へ継承したいという強い願いから、2000年に地元の野球愛好家たちが立ち上がり、新たなクラブチームが誕生しました。それが『WEEDしらおい』です。チーム名の「WEED」には、「雑草のように逞しく」という意味が込められていると言われています。

市民に支えられる運営と伝統の継承

WEEDしらおいは、前身のヴィガしらおいと同様に、市民からの温かい後援金やカンパを活動の重要な柱とする市民クラブとして運営されています。これは、特定の企業に依存せず、地域全体でチームを支えていくという理念に基づいています。

チームの運営において、地域住民との結びつきは非常に大切にされており、文字通り「白老町のチーム」として歩んでいます。設立当初から、チームのユニフォームは2019年まで、かつて白老町の誇りであった大昭和製紙北海道が使用していたデザインを踏襲していました。これは、単なるデザインの継承に留まらず、チームが白老町の野球の歴史と伝統を重んじ、その精神を受け継いでいくという強い意志の表れでした。

活動と主な実績

設立から地道な活動を続け、チームは着実に力をつけていきました。特に、全日本クラブ野球選手権大会を目指す戦いでは、北海道地区の強豪として存在感を示しています。

2012年には、念願であった全日本クラブ野球選手権大会の北海道予選で初優勝を果たし、チーム創設以来初めてとなる全国大会出場を決めました。この全国の舞台でも、チームは初戦を突破し、確かな足跡を残しています。

これまでに、全日本クラブ野球選手権大会には通算3回出場しており、クラブチームの全国レベルでの戦いを経験しています。

また、全国各地のクラブチームが集まるトーナメント大会であるJABA一関市長旗争奪クラブ野球大会においても、優れた成績を収めています。この大会では、2017年と2021年の2度、優勝旗を手にしています。これは、全国の強豪クラブチームを相手にしても互角以上に戦える実力を持っていることの証明と言えるでしょう。

まとめ

WEEDしらおいは、白老町における社会人野球の灯を守り続けるために設立された市民クラブです。かつての大昭和北海道やヴィガしらおいの歴史と伝統を受け継ぎつつ、市民からの支援を力に変えて活動しています。全日本クラブ野球選手権やJABA一関市長旗での実績は、チームの努力と地域からのサポートが結実したものです。これからも、白老町の野球文化の象徴として、地域と共に歩み続けていくことが期待されています。

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