WHITE ROOM (宇都宮隆のアルバム)

宇都宮隆のアルバム『WHITE ROOM』

『WHITE ROOM』は、2000年6月21日にTRUE KiSS DiSCからリリースされた宇都宮隆による5枚目のオリジナルアルバムです。本作は、Epic/Sony RecordsからTRUE KiSS DiSCへの移籍後、初めてのアルバムとして注目を浴びました。リリースの翌月にはRojam Entertainmentに移籍しましたが、その先駆けとして本作は強い存在感を示しています。

宇都宮はこのアルバムを通じて、「音楽、ビジュアル、物語、ホームページ、ライブパフォーマンスを一体化させて表現する」という独自のテーマを掲げました。これにより、アルバム全体が一つのストーリーに基づいたコンセプトアルバムとして位置づけられています。彼は従来のコンセプトアルバムとは一線を画し、「映画のサウンドトラックのように視覚的だけれど、ミュージカルよりは説明的でない」という目指す方向性を持ち、これを「SUITE ALBUM」と名付けました。

楽曲制作においては、まず物語のあらすじを構築することから始まりました。物語が完成した後、宇都宮はその中に登場させたいキャラクターを設定し、徐々に自身のパブリックイメージや知識を照らし合わせながら、役柄を整えていきました。このプロセスは、アートのように緻密に進行し、映画の脚本に匹敵するほどの深みをもたらしました。楽曲は、あらすじに基づいて制作され、その過程でメロディや歌詞は何度も書き直され、宇都宮のイメージに近づけられました。

具体的には、曲によってはサビのメロディを10回以上書き直したり、作詞家に対し「曲が一曲として機能するように」と厳しい指示を出したこともありました。宇都宮自身が演出家のように、曲の場面でのキャラクターの反応についても直接的に修正を行う姿勢は、本アルバムの特異性を際立たせています。実際、最終的にクレジットはされていないものの、全曲に彼の修正が強く反映されているのです。

アルバムにはいくつかの重要な楽曲が収録されています。「OUTLAW」や「NAME」はそれぞれ異なるテーマに基づいており、特に「OUTLAW」では「大都会」での人々の生き様を描いています。また、デュエット曲「one&one/line」では、宇都宮が希望していたシンガーである松雪泰子との協力が実現しました。この楽曲では、互いの痛みを抱えながらも一夜を共にする関係が描かれています。

『WHITE ROOM』の収録曲の中には、「FLUSH」や「Be Truth」など、TM NETWORK|TM_NETWORKのリミックス・アルバム「DRESS」に影響を受けたアレンジの曲もあり、バックトラックの刷新など、音楽的な挑戦も見受けられます。さらに、公式サイトでは藤井徹貫によるノヴェライズ版も販売されており、アルバムの世界観を深く理解する手助けとなっています。

最後に、2013年9月にはソニー・ミュージックダイレクトからBlu-spec CD2仕様で再発されるなど、今なお多くのファンに支持されています。音楽と物語が見事に融合したこのアルバムは、宇都宮隆のアーティストとしての真髄を堪能できる一枚と言えるでしょう。

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