WINNER!

聖飢魔IIの革新的シングル「WINNER!」：メジャーキーへの挑戦と新たな境地

聖飢魔IIの7枚目のシングル「WINNER!」は、1988年10月21日、バンドの活動において重要な転換点となる作品として発表されました。それまでのシングル作品がマイナーキーを基調とした楽曲であった中、「WINNER!」はバンド史上初めてメジャーキーを採用した点が大きな特徴です。この大胆な試みは、聖飢魔IIの音楽性の幅を広げ、新たなリスナー層を獲得する上で大きな役割を果たしました。

メジャーキーへの転換は、楽曲の雰囲気を劇的に変化させました。従来のダークで重厚なサウンドから、より明るく、力強い印象へとシフトしたのです。この変化は、楽曲の持つメッセージ性や、リスナーに与える印象を大きく変え、聖飢魔IIの音楽的可能性をさらに広げる契機となりました。

リリースに先駆け、デーモン小暮閣下は自身のラジオ番組『デーモン小暮のオールナイトニッポン』で9月から「WINNER!」をオンエア。同日に発売された爆風スランプの「Runner」と比較しながら、「走ってる奴（Runner）より勝ってる奴（WINNER!）の方が偉いんだ！」と発言するなど、積極的に楽曲のプロモーションを行いました。この発言からも、バンドが「WINNER!」に込めた自信と、新たな挑戦への意気込みが伝わってきます。

さらに「WINNER!」は、1990年から1993年にかけてフジテレビ系列で放送された人気クイズ番組『FNS1億2000万人のクイズ王決定戦』のエンディングテーマとして使用されました。このタイアップによって、「WINNER!」はより広い世代の視聴者に認知され、聖飢魔IIの知名度向上に貢献しました。

カップリング曲には「害獣達の墓場」が収録されています。この楽曲は、タイトルからも想像できるように、独特の雰囲気を持つ楽曲です。歌詞は当て字を多用しており、独特の読み方を用いた表現が特徴的。また、曲の終盤にはゴジラの鳴き声のような音声も挿入されており、聴く者の想像力を掻き立てる、実験的な要素も取り入れられています。

編曲は聖飢魔IIと土橋安騎夫氏によって手がけられました。作詞は「WINNER!」がデーモン小暮閣下とぬらりひょん吉氏、「害獣達の墓場」はデーモン小暮閣下。作曲は「WINNER!」がSGT.ルーク篁III世、「害獣達の墓場」がエース清水氏です。それぞれのメンバーの個性と才能が融合した、完成度の高い作品と言えるでしょう。

「WINNER!」は、単なる楽曲リリースという枠を超えて、聖飢魔IIの音楽的進化、そして商業的成功を象徴する作品となりました。メジャーキーへの挑戦、ラジオでの積極的なプロモーション、そして人気番組とのタイアップ。これらの要素が相乗効果を生み出し、聖飢魔IIの音楽史における重要な一ページを刻みました。 楽曲自体も高い完成度を誇り、聖飢魔IIの代表曲の一つとして、今なお多くのファンから愛され続けています。

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