WONDERFUL WORLD (ゆずのアルバム)

ゆず8作目のオリジナルアルバム『WONDERFUL WORLD』：2008年の軌跡

2008年4月16日、セーニャ・アンド・カンパニーより発売されたゆず通算8作目のオリジナルアルバム『WONDERFUL WORLD』。前作『リボン』（2006年1月18日発売）から約2年3ヶ月ぶりのリリースとなり、CDのみの通常盤と、DVD付きの限定生産盤の2形態が用意されました。

本作には、既にシングルとしてリリースされていた人気曲「春風」、「明日天気になぁれ」、「ストーリー」を含む全15曲が収録されています。アルバムリリース前には、シングルA・B面以外の楽曲を集めたベストアルバム『ゆずのね 1997-2007』の発売や、小田和正、葉加瀬太郎、松任谷由実らとのコラボレーションシングルリリース、大規模な「ゆず体育館ツアー 2006 リボン」や「ゆず10周年感謝祭 ゆずのね」ツアー（ツアーDVDも発売済）と精力的な活動が展開されました。

さらに、これまであまり出演機会のなかったテレビ番組にも積極的に出演し、『笑っていいとも!』（フジテレビ系）や『ミュージックステーション』（テレビ朝日系）に初出演を果たすなど、幅広い層へのアプローチを図っています。

メンバーのインタビューによると、本作は「30代の『ゆずの素』（メジャーデビュー前の作品）を作ろう」というコンセプトのもと制作されたとのこと。これまでゆずとプロデューサー寺岡呼人によるアレンジが中心でしたが、今作では外部のアレンジャーも参加し、サウンドの幅を広げています。

アルバム発売に合わせ、同年4月19日からはアリーナツアー「YUZU ARENA TOUR WONDERFUL WORLD」を開催。新潟を皮切りに全国を巡るツアーは、CDジャケット撮影現場にコンサートの舞台スタッフが参加するなど、レコーディングからジャケット撮影、コンサートまで一貫した世界観を追求した点が特徴です。また、このツアーからそれまでの「体育館ツアー」表記が「ARENA TOUR」に変更されています。

アルバムタイトルは、当時TOKYO FMで放送されていたラジオ番組から引用。ジャケットデザインはフラワーアーティストの東信氏が担当しました。オリコン週間ランキングでは、オリジナルアルバムとしては「ユズモア」以来4作ぶりに1位を逃したものの、高い人気を博しました。

収録曲と楽曲解説

アルバムはインストゥルメンタル曲「WONDERFUL WORLD」から始まり、その後「ストーリー」へとシームレスに繋がります。「ストーリー」はトヨタ自動車「ラクティス」のCMソングにも起用され、ゆずと女優綾瀬はるかの共演も話題を呼びました。

その他、ゆずの地元岡村町にある美容室から名前を取った「モンテ」、亀田誠治氏のアレンジが光る「おでかけサンバ」、三浦春馬氏と平田薫氏が出演したミュージックビデオが印象的な「うまく言えない」、10周年頃からあった楽曲という「凸凹」、「春風」（葉加瀬太郎氏とのコラボレーション）、「明日天気になぁれ」など、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。

特に「うまく言えない」のミュージックビデオは、三浦春馬氏の出演が話題となり、彼の逝去後にはゆず公式YouTubeチャンネルで収益化せずフルサイズが公開されました。北川悠仁氏も自身のInstagramで追悼メッセージと共に弾き語り動画を公開しています。

また、「ワンダフルワールド」の楽曲収益の一部はUNHCRを通じて「みどりを増やす」プロジェクトに寄付されています。

参加ミュージシャン

本作には、寺岡呼人氏をはじめ、数多くの著名なミュージシャンが参加。ドラム、ベース、ギター、キーボード、ストリングス、ブラス、コーラスなど、多様な楽器と演奏陣によって、ゆずの楽曲世界がさらに深化しています。特に、久石譲氏によるオーケストレーションが施された最終曲は、壮大なスケール感を感じさせます。

テレビ出演

アルバムリリース後、ゆずは『Music Lovers』（日本テレビ系）などに出演し、アルバムをさらに多くの視聴者に届ける活動も展開しました。

『WONDERFUL WORLD』は、ゆずの音楽性と表現力の幅広さを示す、重要な作品と言えるでしょう。

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