WPPグループ

WPPグループ：世界を制する広告・マーケティングの巨人

WPP plcは、イギリス・ロンドンに本社を置く、世界最大規模の広告代理店グループです。税務上の理由から、登記上はアイルランドのダブリンに本社を置くものの、その影響力は世界中に広がっています。

WPPの傘下には、世界最古級とされる広告代理店ジェイ・ウォルター・トンプソン（JWT）、ニューヨークを拠点とする老舗代理店オグルヴィ（旧称：オグルヴィ・アンド・メイザー）、グレイ・グループ、そしてメディアプランニング会社などを擁するGroupMなど、数々の業界の巨人が名を連ねています。これらの企業は、それぞれ独自の強みを持ちながら、グローバルなネットワークを通じてクライアント企業に包括的なサービスを提供しています。2019年には、JWTとワンダーマンが経営統合し、ワンダーマン・トンプソンとして新たな展開を始めています。

WPPグループは、1971年にワイヤー&プラスチック社として設立されました。当初はワイヤー製の買い物籠を製造する会社でしたが、マーティン・ソレル氏が1985年に同社の経営権を取得し、広告代理店事業への進出を開始しました。ソレル氏の積極的なM&A戦略により、WPPは短期間で急成長を遂げました。1987年には、JWTグループを買収し、世界的な広告代理店グループとしての地位を確立します。その後も、オグルヴィ・アンド・メイザーやヤング・アンド・ルビカムといった有力企業を買収し、事業規模を拡大してきました。

その規模は驚異的で、世界107カ国に2,400以上のオフィスを構え、16万人を超える従業員を擁します。2016年時点では、日本の電通グループの約3倍の規模を誇ると言われています。WPPの事業は広告代理店業務にとどまりません。PR会社、企業ブランディング会社、マーケティングリサーチ会社など、多岐にわたる関連事業を展開しています。かつては台所用品の製造も行っていましたが、現在は広告・マーケティング関連事業に注力しています。

日本においても、WPPグループはジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパン、オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン、グレイ・グループ、カンター・ジャパン、グループエム・ジャパン、ヒル・アンド・ノウルトン、バーソン・コーン&ウルフ、ランドーなど、数多くの関連会社を通じて事業を展開しています。1998年にはアサツー ディ・ケイ（現ADKホールディングス）と資本業務提携を行い、長らく筆頭株主として関係を維持していましたが、2017年には資本業務提携を解消しています。2002年にはプラップジャパンとも資本業務提携を行い、現在も関連会社を通じて株式を保有しています。

WPPグループは、その歴史と規模から、広告業界に計り知れない影響力を及ぼす存在です。今後も、グローバルな視点と革新的な戦略によって、広告・マーケティング業界をリードしていくことが期待されています。その多角的な事業展開、そして世界的な規模は、まさに現代広告業界の巨大な姿を象徴しています。

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