WXYZ-TV

デトロイトを代表するテレビ局の一つであるWXYZ-TVは、アメリカ合衆国ミシガン州デトロイトに拠点を置くABCネットワークの系列局です。この放送局はE・W・スクリップス・カンパニーが所有しており、同じくスクリップスが所有するCW系列局WMYDと施設を共有しています。WXYZ-TVのスタジオおよび送信所は、デトロイト郊外のサウスフィールドにある「ブロードキャスト・ハウス」として知られる場所に位置しています。

歴史

開局とABC主要局としての地位確立

WXYZ-TVは、1948年 10月9日に放送を開始しました。これは、デトロイトおよびミシガン州全体で2番目に開局したテレビ局であり、先行するWWJ-TV（現在のWDIV-TV）からは約1年、WJBK-TVからはわずか15日後のことでした。同局は、人気ラジオドラマ『ローン・レンジャー』や『グリーン・ホーネット』を制作した実績を持つABC所有のラジオ局WXYZ（AM 1270）から派生しました。WXYZラジオで活躍していたパーソナリティ、ディック・オズグッド氏が初回放送のホストを務めました。WXYZ-TVは、ABCが自社で所有・運営していた初期の5つのテレビ局の中で、ニューヨークのWABC-TV、シカゴのWLS-TVに続き、3番目に契約が締結された局でした。

開局当初、WXYZ-TVはデトロイト美術館の向かいにあるミッドタウンのマッカビーズ・ビルディングをスタジオとして使用していました。1950年代には、WXYZラジオ出身の多数のパーソナリティを起用し、革新的で高い人気を誇る番組シリーズを制作しました。これらの番組が生み出した十分な収益は、当時財政的に苦境にあったABCネットワークや、同時期に進められていたABC＝パラマウント・レコードを含む他の事業の財政的な支えとなりました。

施設の移転とカラー放送の導入

1959年、WXYZのラジオとテレビの両事業は、サウスフィールドのウェスト・テン・マイル・ロードにある新しい放送施設、「ブロードキャスト・ハウス」へと移転しました。かつて農場だった広大な敷地に建設されたこの施設は、3つのテレビ制作スタジオを備え、一人で保守可能なエレベーター付きの自立型放送塔を有していました。テレビ事業は現在もこの場所から放送を続けています。技術面では、1962年にカラーでのネットワーク番組放送を開始し、1964年頃には自局制作のローカル番組やニュース番組もカラーで放送するようになりました。

視聴者数での成功と先駆者

1978年までには、WXYZ-TVは地元デトロイトでの視聴者数において、全米で2番目に支配的なテレビ局へと成長しました。この成功は、ABCのプライムタイムにおける視聴率の優位性と、ビル・ボンズ氏がリードアンカーを務めるニュース番組『Channel 7 Action News』の継続的な人気に起因すると考えられています。また、1979年にはジャンヌ・フィンドレイター氏がゼネラルマネージャーに任命されましたが、これは主要なテレビ市場において女性がこの役職に就任した初めての例として注目されました。カナダの一部の地域では、国境放送局の信号を受信するのが困難だったため、1983年からキャンコムシステムを通じてWXYZ-TVのABC番組が再送信されていましたが、その後シアトルのKOMO-TVも代替としてサービスに追加されました。

所有権の変更と提携維持の戦略

1985年5月、キャピタル・シティーズ・コミュニケーションズによるABCネットワークの買収が発表されました。この合併は、当時の連邦通信委員会（FCC）の所有制限に抵触したため、新会社はWXYZ-TV、あるいはデトロイトで所有していたラジオ局（WJR、WHYT）のうちいずれかを売却する必要がありました。最終的に、1986年2月のFCC承認を得て、キャピタル・シティーズ/ABCはWXYZ-TVと、同じくキャピタル・シティーズが所有していたタンパのWFTS-TVをE・W・スクリップス・カンパニーに売却しました。当初はFCC規則の免除を得てWXYZ-TVとラジオ局を共に保持する意図もありましたが、実現しませんでした。

スクリップスの所有下に入ってからも、WXYZ-TVは一貫してABCネットワークとの提携を維持し続けました。また、ABC独自の「サークル7」ロゴの使用も継続しました。スクリップスは、WXYZ-TVの高い視聴者人気を利用し、デトロイトのケーブルテレビ事業者に対し、FCCの再送信同意規則を活用して自社所有のケーブルネットワークHGTVを伝送するよう促しました。1993年2月には、ビル・ボンズ氏がホストを務めた『Town Meeting with President Bill Clinton』の開催地となり、クリントン大統領がスタジオの観客や衛星経由で参加する他の局の視聴者からの質問に答えました。

1994年の系列再編とWXYZ-TV

1994年、アメリカのテレビ業界はネットワーク所属局の大規模な再編に直面しました。同年5月23日、当時CBS系列だったデトロイトのWJBKが、FOXとの提携契約を発表しました。これにより、FOXは長年提携していたWKBD-TVからWJBKへと系列を変更し、デトロイトで提携先を失ったCBSは新たな加盟局を模索しました。CBSはWXYZ-TVに対し提携を切り替えるよう働きかけましたが、1994年 6月16日、E・W・スクリップス・カンパニーはWXYZ-TVとクリーブランドの姉妹局WEWS-TVを、長期にわたりABC系列局として維持する契約をABCと締結しました。この契約の条件として、他の都市のスクリップス所有局（タンパのWFTS-TV、フェニックスのKNXV-TV、ボルチモアのWMAR-TV）はABCとの提携を失うこととなりました。デトロイトで提携先を確保できなかったCBSは、最終的にUHF独立局だったWGPR-TV（現在のWWJ-TV）と提携しました。この出来事は、WXYZ-TVがデトロイトにおけるABCの揺るぎない拠点としての地位を確立する上で重要な局面でした。

現在

WXYZ-TVは、デトロイト地域において地域社会への貢献活動に積極的に取り組んでいます。その優れたコミュニティサービスは高く評価され、1989年には全米テレビ芸術科学アカデミーから全米コミュニティサービス賞を受賞しました。セント・ビンセント・デ・ポール協会やオペレーション・キャン・ドゥといった慈善団体、デトロイトで毎年開催される子供向け予防接種フェアなど、様々な地域活動のパートナーとなっています。

技術面では、ミシガン州内のテレビ局、またスクリップス所有局として初めて、2006年 10月4日にローカルニュース番組のハイビジョン（HD）放送を開始しました。地上波デジタル放送に関しては、デトロイトで最初にデジタル信号の送信を開始した局の一つであり、1998年 9月29日にUHFチャンネル41で放送を開始しました。連邦政府の移行命令に伴い、2009年 6月12日にはVHFチャンネル7でのアナログ放送を終了しましたが、デジタル信号は引き続きUHFチャンネル41で送信されています。PSIP（Program and System Information Protocol）の技術により、デジタルテレビ受信機では引き続き「チャンネル7」として表示されます。

デジタルサブチャンネルの利用も行われており、当初はタワーカメラの映像、後に気象情報を提供するチャンネルなどを放送していました。2010年にはモバイルテレビ放送帯域を確保するためサブチャンネルの一部が再構成され、その後はバウンスTV（Bounce TV）の番組などを放送しています。WXYZ-TVは、WDIV-TVと共に、2010年 8月6日にデトロイトで初めてモバイルDTVフィードの提供を開始した放送局の一つです。

国際的な交流としては、日本の広島県にあるテレビ朝日系列局、広島ホームテレビと1998年に姉妹放送局協定を締結しています。

WXYZ-TVの信号は多重化されており、複数のサブチャンネルを放送しています。

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