Web Content Accessibility Guidelines

Web Content Accessibility Guidelines（WCAG）とは

Web Content Accessibility Guidelines（WCAG、ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン）は、ウェブコンテンツを障害を持つ人々が利用しやすくするための国際的なガイドラインです。World Wide Web Consortium（W3C）のWeb Accessibility Initiative（WAI）によって策定され、ウェブアクセシビリティにおける重要な基準となっています。

WCAGの目的は、視覚、聴覚、運動、認知などの様々な障害を持つ人々がウェブコンテンツにアクセスできるようにすることです。しかし、その結果として、障害の有無に関わらず、全てのユーザーにとって使いやすいコンテンツとなることが期待されています。また、特定の技術に依存しない原則に基づいているため、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどの多様なデバイスでの利用が可能です。

WCAGの歴史

最初のウェブアクセシビリティガイドラインは、1995年にグレッグ・ヴァンダーヘイデンによって発表されました。その後、多くの団体が同様のガイドラインを策定し、1998年には「統一ウェブサイト・アクセシビリティ・ガイドライン」としてまとめられました。このガイドラインは、後のW3CのWCAG 1.0の基礎となりました。

• - WCAG 1.0: 1999年5月5日にW3C勧告として公開されました。14のガイドラインで構成され、それぞれにウェブアクセシビリティの原則が示されています。各ガイドラインは、具体的なチェックポイントに結び付けられ、達成度に応じて優先度が設定されました。
• - WCAG Samurai: 2008年2月には、W3Cとは独立したグループであるWCAG Samuraiが、WCAG 1.0の修正と拡張を公開しました。
• - WCAG 2.0: 2008年12月11日にW3C勧告として公開されました。4つの原則（知覚可能、操作可能、理解可能、堅牢）に基づき、12のガイドラインで構成されています。各ガイドラインには、検査可能な達成基準が設けられています。

WCAG 2.0の原則とガイドライン

WCAG 2.0は、以下の4つの原則に基づいて構成されています。

1. 知覚可能 (Perceivable):
- ガイドライン 1.1: すべての非テキストコンテンツには、テキストによる代替を提供すること。
- ガイドライン 1.2: 時間依存メディアには代替コンテンツを提供すること。
- ガイドライン 1.3: 情報と構造を損なうことなく、様々な方法で提供できるようにコンテンツを制作すること。
- ガイドライン 1.4: コンテンツを、利用者にとって見やすく、聞きやすくすること。
2. 操作可能 (Operable):
- ガイドライン 2.1: すべての機能をキーボードから利用できるようにすること。
- ガイドライン 2.2: 利用者がコンテンツを読み、使用するために十分な時間を提供すること。
- ガイドライン 2.3: 発作を引き起こすようなコンテンツを設計しないこと。
- ガイドライン 2.4: 利用者がナビゲートしたり、コンテンツを探し出したり、現在位置を確認したりすることを手助けする手段を提供すること。
3. 理解可能 (Understandable):
- ガイドライン 3.1: テキストのコンテンツを読みやすく理解可能にすること。
- ガイドライン 3.2: ウェブページの表示や挙動を予測可能にすること。
- ガイドライン 3.3: 利用者の間違いを防ぎ、修正を支援すること。
4. 堅牢 (Robust):
- ガイドライン 4.1: 現在および将来の、支援技術を含むユーザエージェントとの互換性を最大化すること。


WCAG 2.0は、達成度に応じて3つの適合レベル（A、AA、AAA）を設けています。各レベルは、アクセシビリティの度合いを示し、ウェブコンテンツがどれだけ利用しやすいかを評価する基準となります。

法的義務

WCAGの導入は、倫理的および商業的な観点から重要であるだけでなく、多くの国や地域で法的な義務となっています。例えば、アメリカ合衆国ではリハビリテーション法第508条、欧州連合では指令2016/2102により、公的機関のウェブサイトやモバイルアプリケーションのアクセシビリティが義務付けられています。また、イギリス、カナダ、オーストラリア、イスラエルなどでも、政府や公共機関のウェブサイトに対してWCAGに準拠することが求められています。

まとめ

WCAGは、ウェブアクセシビリティを実現するための国際的な標準であり、ウェブコンテンツの制作者にとって不可欠なガイドラインです。WCAGを遵守することで、障害を持つ人々を含む全ての人々が、ウェブコンテンツを平等に利用できるようになります。ウェブアクセシビリティへの意識を高め、より多くの人々が情報にアクセスできる社会を目指していくことが重要です。

参考資料

• - WCAG 2.1 (2018年)
• - Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.1 日本語訳
• - WCAG 2.0 (2008年)
• - Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0 日本語訳
• - WCAG 1.0 (1999年)

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