Windows Embedded Industry

Windows Embedded Industry：業務用端末を支えた組み込みOSとその歴史

Windows Embedded Industryは、マイクロソフト社が開発した組み込みオペレーティングシステムです。かつてはWindows Embedded POSReadyやWindows Embedded for Point of Serviceといった名称でも知られていました。キャッシュレジスター、ATM、セルフチェックアウトシステムなど、様々な業務用端末への搭載を目的として設計されました。しかし、2024年6月現在、Windows Embedded Industryを含む全てのWindows Embeddedシリーズはマイクロソフトによるサポートを終了しています。

後継OSとして、現在もサポートが継続されているWindows 10 IoT Enterpriseが挙げられます。ただし、Windows 10 IoT Enterpriseのサポートも2025年10月14日に終了する予定であるため、業務用端末のOS更新は喫緊の課題となっています。

Windows Embedded Industryのバージョンと特徴

Windows Embedded Industryシリーズには、いくつかのバージョンが存在します。それぞれベースとなるWindowsのバージョンや機能が異なっています。主なバージョンを以下に示します。

Windows Embedded for Point of Service (WEPOS): Windows XP Embeddedをベースにした、POSシステム向けに特化したバージョンです。Windows Update Agentによるアップデート機能が初めて導入されました。2005年5月24日に公開され、2008年10月8日にはService Pack 3 (SP3)がリリースされました。Internet Explorer 6のサポート終了後も、しばらくの間Internet Explorer 7をサポートし続けました。

Windows Embedded POSReady 2009: Windows XP Service Pack 3をベースとし、WEPOSよりも機能が強化されています。完全ローカライゼーションのサポートや.NET Framework 3.5以降のインストールによる拡張機能などが追加されました。2008年12月9日に公開され、Windows XPサポート終了後も利用され続けたことで注目を集めました。

Windows Embedded POSReady 7: Windows 7をベースとした初めてのWindows Embedded Industryです。2011年7月1日に公開されました。Windows 7の安定性と機能を業務用端末に提供しました。

Windows Embedded 8 Industry: Windows 8をベースとしており、プロバージョンとエンタープライズバージョンの2種類が提供されました。2013年4月2日に公開されました。

* Windows Embedded 8.1 Industry: Windows 8.1をベースとしたバージョンで、プロバージョンとエンタープライズバージョンの2種類があります。2013年10月17日に公開され、2014年4月16日にはアップデート版がリリースされました。

これらのバージョンは、それぞれ異なる時期に公開され、OSの進化に合わせて機能や性能が向上してきました。しかし、いずれも現在ではサポートが終了しているため、今後業務用端末でこれらのOSを使用する際には、セキュリティリスクへの対策が不可欠です。

サポート終了と今後の展望

Windows Embedded Industryシリーズのサポート終了に伴い、多くの企業がOSの移行を迫られています。後継OSとして、Windows 10 IoT Enterpriseなどが挙げられますが、これもサポート終了が迫っています。そのため、企業は長期的な視点でOS選定を行うとともに、セキュリティ対策を強化し、システムの安定性を確保していく必要があります。新しいOSへの移行は、コストや業務への影響を考慮した上で慎重に進めるべきでしょう。また、OSのライフサイクルを意識したシステム設計と運用が、今後ますます重要になってきます。

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