Wonederful world on DEC 21

Mr.Childrenの軌跡を刻む一夜限りのライブ：『wonederful world on DEC 21』

2002年、デビュー10周年を迎えたMr.Children。同年夏からホールツアー『TOUR 2002 DEAR WONDERFUL WORLD』、秋からはアリーナツアー『TOUR 2002 IT'S A WONDERFUL WORLD』を予定していました。8年ぶりのホールツアー開催は、ファンにとって大きな喜びでした。しかし、ツアー開始直前、ボーカルの桜井和寿氏が小脳梗塞を発症。全公演の中止という、ファンにとってもバンドにとっても大きな衝撃が走りました。

桜井氏の療養後、回復が確認されたことを受けて、中止となったツアーを総括する意味を込めて、一夜限りのスペシャルライブ『TOUR 2002 DEAR WONDERFUL WORLD IT'S A WONDERFUL WORLD ON DEC 21』が12月21日、横浜アリーナで開催されました。この感動的な一夜を収録したライブDVD『wonederful world on DEC 21』は、2003年3月26日に発売されました。DVD限定での販売という点も、この作品を特別な存在にしていると言えるでしょう。

Mr.Childrenのライブ映像作品では、MCや曲間のシーンがカットされることが多くありました。しかし、本作ではアンコール待ちを除いて、ほぼノーカットで収録されている点が大きな特徴です。当日のライブはフジテレビ721で生中継もされ、多くの視聴者がこの特別なライブをリアルタイムで目撃しました。

横浜アリーナ公演後には、追加公演を行う提案もあったそうです。しかし、ドラマーの鈴木英哉氏は、この日のライブを編集なしでそのまま収録するという案に強く賛同し、現在の形でのリリースに至りました。鈴木氏の「あの日のライブを一切手を加えず、編集もしないでそのまま残すということに、すごく潔さを感じていた」という言葉は、この作品が持つ純粋な感動を端的に表しています。

タイトルの「wonederful」は、「wonderful」と「one（一夜限りの）」を掛け合わせた造語。ライブ当日には使用されておらず、パッケージ化にあたって初めて使われたというエピソードも興味深いところです。監督は袴田晃司氏と吉永龍樹氏、アートディレクターは信藤三雄氏が担当し、それぞれの才能が融合した作品となっています。

演奏と収録内容

演奏は、Mr.Childrenのメンバー4名に加え、サポートメンバーとして浦清英氏（キーボード）、河口修二氏（ギター、コーラス）、SUNNY氏（キーボード、コーラス）が参加。楽曲は、Mr.Childrenの代表曲の数々が、このライブならではの特別なアレンジで披露されています。例えば、「CENTER OF UNIVERSE」では、終始アコースティックギターが演奏されているなど、ライブでしか味わえないアレンジが随所に盛り込まれています。「名もなき詩」では観客がサビを合唱する場面も収録され、一体感を体感できます。「ファスナー」ではHey! Say! JUMP|Hey!_Say!_JUMPの有岡大貴さんが出演している映像が流れたり、「虹の彼方へ」が急遽セットリストに加えられたりと、このライブならではのエピソードも満載です。また、MCでは桜井氏の病気発症時のエピソードも語られています。

DVDには、ライブ本編に加え、ミュージックビデオやライブスクリーン用映像、メンバーと小林武史氏によるトーク＆インタビューも収録。この作品は、単なるライブ映像作品という枠を超え、Mr.Childrenの2002年、そしてその後の歩みを象徴する、貴重な記録と言えるでしょう。Disc2には「HERO」「Dear wonderful world」「ファスナー」「いつでも微笑みを」「It's a wonderful world」のミュージックビデオやライブスクリーン用映像に加え、メンバーと小林武史氏によるトーク＆インタビューも収録されています。

『wonederful world on DEC 21』は、音楽史に刻まれるべき、忘れがたい一夜を凝縮した、まさに“奇跡のライブ”の記録です。Mr.Childrenファンはもちろん、音楽を愛するすべての人にとって、感動と興奮を与えてくれる作品と言えるでしょう。

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