X-ファイル シーズン1

『X-ファイル』シーズン1：製作、キャスト、ストーリー、評価

1993年9月10日から1994年5月13日にかけてFOXで放送された『X-ファイル』シーズン1（全24話）は、その後のSFドラマに多大な影響を与えた作品です。未解決事件を扱うFBI捜査官のモルダーとスカリーが、超常現象や陰謀に立ち向かう姿を描きます。

スタッフ

製作総指揮：クリス・カーター、グレン・モーガン、ジェームズ・ウォン、ハワード・ゴードン、R・W・グッドウィン、ポール・ラブウィン
製作：デヴィッド・ナッター、ジョセフ・パトリック・フィン
音楽：マーク・スノウ

キャスト

主要キャスト

デヴィッド・ドゥカヴニー - フォックス・モルダー特別捜査官
ジリアン・アンダーソン - ダナ・スカリー特別捜査官
ジェリー・ハーディン - ディープ・スロート
ウィリアム・B・デイヴィス - シガレット・スモーキング・マン
ミッチ・ピレッジ - ウォルター・スキナーFBI副長官
ブルース・ハーウッド - ジョン・フィッツジェラルド・バイヤース
トム・ブレイドウッド - メルビン・フロヒキー
ディーン・ハグランド - リチャード・ラングリー
チャールズ・シオフィ - スコット・ブレヴィンス課長

主要ゲスト

シーラ・ラーケン - マーガレット・スカリー
ドン・S・デイヴィス - ウィリアム・スカリー
リンゼイ・ギンター - クルー・カット・マン
ダグ・ハッチソン - ユジーン・ヴィクター・トゥームス
サラ・コスコフ - テレサ・ネンマン
ザッカリー・アンズリー - ビリー・マイルズ
スコット・ベリス - マックス・フェニグ
ブラッド・ドゥーリフ - ルーサー・リー・ボッグス
ジェリコ・イヴァネク - アーサー・グレイブル/ローランド・フュラー

製作

構想

1990年代初頭、FOXからドラマ製作の依頼を受けたクリス・カーターは、UFOや陰謀論に着想を得て、『X-ファイル』の構想を練り始めました。1974年のテレビドラマ『事件記者コルチャック』やウォーターゲート事件などの影響を受け、1992年にはパイロット版の脚本を完成させました。当初、企画はFOX重役によって却下されましたが、コンセプトを刷新した企画書が承認され、パイロット版の制作が決定しました。

カーターは、ダニエル・サックハイムと共に、ドキュメンタリー映画『The Thin Blue Line』やイギリスのテレビドラマ『第一容疑者』などを参考に、作品のリアリティを追求しました。また、『羊たちの沈黙』を鑑賞したことで、主人公をFBI捜査官に設定し、物語に説得力を持たせることを思いつきました。

キャスティング

モルダー役には、当時映画を中心に活動していたデヴィッド・ドゥカヴニーが抜擢されました。彼は脚本の面白さに惹かれ、オーディションに挑戦しました。カーターは当初、ドゥカヴニーの知的な外見に懸念を抱きましたが、彼の演技力と脚本読解能力を高く評価しました。

一方、スカリー役のキャスティングは難航しました。カーターは舞台女優のジリアン・アンダーソンを強く推しましたが、FOX側は恋愛要素の追加や、ブロンドでグラマラスな女優を希望しました。しかし、カーターの粘り強い説得により、アンダーソンの起用が決定しました。

ウォルター・スキナー副長官は、従来のステレオタイプな上司像とは異なり、「眠れる獅子」のようなキャラクターとして描かれています。ミッチ・ピレッジは、当初他の役でオーディションを受け続けていましたが、最終的にスキナー役を射止めました。

脚本執筆

当初、シリーズの長期化は想定されておらず、物語の根幹はエイリアンをめぐる陰謀でしたが、製作陣はモンスターや幽霊をテーマにしたエピソードも盛り込みました。また、シーズン1の終盤には、シリーズの主要な敵である「シガレット・スモーキング・マン」が登場し、モルダーの妹、サマンサの誘拐事件の真相も示唆されました。

シーズン1の主題

カーターは、UFOに関する伝聞や言説からインスピレーションを得て、シリーズの核となるテーマを見出しました。彼は、『事件記者コルチャック』のように主人公が事件を解決するだけでなく、FBIの部署という設定を加えることで、物語にリアリティを持たせました。初期段階では、超常現象が実は誤解だったというエピソードも考案されていましたが、FBI捜査官という設定により、これらの要素は不要となりました。

モルダーは「真実を追う者」であり、妹の誘拐が宇宙人の仕業だと信じています。一方、スカリーは「懐疑主義者」として、物語のバランスを保っています。スカリーは『羊たちの沈黙』のクラリス捜査官をモデルにしており、現実的なキャラクターとして描かれています。

『X-ファイル』は、エイリアンの陰謀を軸にしつつ、様々なジャンルのエピソードを展開し、見る者を飽きさせない魅力があります。ダニエル・サックハイムは、この不定形なスタイルこそが、『X-ファイル』の最大の特徴であると述べています。

評価

視聴率

シーズン1第1話「序章」は1200万人が視聴し、視聴率15％を記録しました。その後、視聴者数は一時的に減少しましたが、最終話「三角フラスコ」では1400万人の視聴者数を獲得し、シーズン2の製作が決定しました。

批評家からの評価

シーズン1は批評家から好意的な評価を受けました。『エンターテインメント・ウィークリー』は「テレビ番組の常識を覆すような作品」と評し、『バラエティ』は「物語は目新しく、キャラクターも魅力的」と述べました。IGNは「これまでに見たことがないような卓越した作品」と絶賛し、『デジタル・ビッツ』は「フィルム・ノワールのような撮影手法も印象的」と評価しました。批評集積サイトのMetacriticでは、加重平均値70/100と高評価を得ています。

一方で、一部の批評家からは、シーズン1の「影」「輪廻」「ローランド」の3話のプロットが類似しているとの指摘もありました。

参考文献

Bush, Michelle (2008). Myth-X. Lulu. ISBN 1-4357-4688-0
Cantor, Paul A (2003). Gilligan Unbound: Pop Culture in the Age of Globalization. Rowman & Littlefield. ISBN 0-7425-0779-3
Delasara, Jan (2000). X-Files Confidential. PopLit, PopCult and The X-Files: A Critical Exploration. ISBN 0-7864-0789-1
Edwards, Ted (1996). X-Files Confidential. Little, Brown and Company. ISBN 0-316-21808-1
Gradnitzer, Louisa; Pittson, Todd (1999). X Marks the Spot: On Location with The X-Files. Arsenal Pulp Press. ISBN 1-55152-066-4
Lovece, Frank (1996). The X-Files Declassified. Citadel Press. ISBN 0-8065-1745-X
Lowry, Brian (1995). The Truth is Out There: The Official Guide to the X-Files. Harper Prism. ISBN 0-06-105330-9
Meisler, Andy (2000). The End and the Beginning: The Official Guide to the X-Files Volume 5. Harper Prism. ISBN 0-06-107595-7

外部リンク

* The X-Filesのエピソード一覧 - インターネット・ムービー・データベース（英語）

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