X-15 (航空機)

X-15について

X-15は、アメリカによって開発された高高度の極超音速実験機です。ノースアメリカン社が製造したこの機体は、ロケットエンジンを使用して高高度まで上昇し、従来のジェットエンジンでは達成できない数々の技術革新をもたらしました。X-15がもたらした研究成果は、後のスペースシャトル開発に重要な影響を与えています。

歴史の始まり

X-15の開発は、第二次世界大戦直後に遡ります。アメリカは、ドイツからの航空宇宙技術の獲得を背景に、極超音速飛行研究に着手しました。1954年には、米空軍、海軍、NACA（NASAの前身）が協力し、マッハ4以上の飛行研究計画を決定しました。当初の計画から選抜されたノースアメリカン社の設計が採用され、1956年にはXLR99エンジンが搭載されました。しかし、エンジン開発の遅れにより、初期の飛行ではXLR11を使用せざるを得ませんでした。

初飛行は1959年に行われ、その後、数回の試験飛行で飛行能力を正確に検証していきました。特に1960年にはマッハ3.31と、高度41,605mを達成し、大きな成果となりました。しかし、X-15の着陸時には数々の課題があり、精密な操作を要しました。

重要なフライト

1962年11月には2号機が着陸事故を起こし、修理後にはX-15A-2として新たな挑戦を続けました。1963年8月には、操縦士ジョセフ・A・ウォーカーが高度107,960mに到達し、X-15全体の最高到達地点として記録されました。その後の験飛行では1967年に7,274km/h（マッハ6.7）を達成し、様々な極超音速飛行の実験が続きました。

X-15は、飛行の記録到達以外にも、科学的なデータ収集に貢献しました。微小隕石の採取や様々な高度での放射線の測定は、宇宙科学の発展にとって非常に重要でした。

終焉と現在

1967年には3号機が空中分解する事故が発生し、パイロットのマイケル・J・アダムスが命を落としました。その後、1968年にX-15の全ての飛行が終了し、現在、1号機はスミソニアン航空宇宙博物館に展示されています。

X-15のプログラムでは、3機のX-15と2台のNB-52航空機が運用されました。様々なフライトに参加したパイロットたちが、その後アメリカの宇宙計画の礎を築くこととなったのです。

設計特徴

X-15の機体は、ブレンデッドウィングボディ形状をしており、内部には推進剤の液体アンモニアと液体酸素が搭載されています。エンジンは高温に耐えるための材料で作られ、ロケット形式で空中から発進します。特に、厳しい空力特性に合わせて設計されており、超高高度では独自の姿勢制御システムを備えています。

機体の内部では、メインロケットエンジンが作動し、高度を維持しつつ飛行することが可能でした。パイロットは高圧の宇宙服を着用し、飛行中の安全を確保するための様々な技術が盛り込まれています。

現在の位置づけ

X-15は、現在でも航空機による有人宇宙飛行の最大速度と最高高度の記録を保持しており、続く宇宙開発プログラムへの影響は計り知れません。これらの成果は、宇宙探索の未来を切り拓くものであり、映画や小説などの文化にも影響を与え続けています。

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